進化
@toumorokosi-cha
第1話
突然だがわたしは便秘体質だ。
このまま出ない日々が続いたらしまいには口から出てくるんじゃないかと本気で心配したくらいだ。
お食事前・中・後の方、大変申し訳ない!
便秘になるとお腹が張るし、身体は重いし、何もないのにやたらとイライラする。いいことなんて何一つとしてない。
私のように誰しも一度は排便について悩んだことがあるのではないでしょうか。
便秘ではなく下痢や軟便で悩んでいる方もきっとおられるはず。
そもそもどうして便は出すだけで一苦労なのだろう。
出る前にはお腹が痛くなり、出す時には踏ん張らなくはいけない。
しかし踏ん張り過ぎると切れ痔になってしまう。
もうなにがなんだか。
「生物はこれまでたくさんの進化をとげてきた」理科の先生がこの前言っていた言葉を思い出した。
いらないものを身体の外へ出すことは生物が生きていく上でとても大切なことだ。
現に呼吸は必要な酸素を空気中から取り入れ、二酸化炭素を体外へ排出している。
呼吸は何も考えずできるのに排便は毎回エネルギーを必要とする。
排便においても生物は進化すべきだ!
*
「えー、ということで進化をとげる前の人間は"食物"を摂取していたためそれを排泄するための肛門という穴がここに存在したわけだ」
頭に生態学教授が語りかけてくる話をうすぼんやりと聞いていた。
ていうか穴があいてるなんてナンセンスだな、、
そんなくだらないことばかりを考えていた。
「おーい!そろそろ大気圏に入るぞ」父の声が聞こえた。
「もう入るんだ」
「お、戻ってたのか。お前もそろそろ準備しとけよ。」
「わかった」
「キューブもちゃんと食べなきゃだめだぞ」
「わかってるってば」
生物は何千年と前から地球を離れそれぞれ新しく住めそうな惑星を探している。
僕は父に言われたこのキューブとやらが嫌いだ。
ただ口から放り込めばいいだけなのだがなんの味もしなければ、なんの匂いもしない。
生命を維持するために必要な栄養素がはいっているといい、定期的に口に入れれば後はなにもしなくとも生きていける。
というが正直なところそんな実感はまるでない。
そういえば昔は"食物"とやらを摂取していたらしいな。
それはキューブとは違って味がしたのか。
"食物"だったら僕だって喜んで口に入れたかもしれない。
だけどそしたらここに穴も開くのだな。
「それでもいいから一度"食物"とやらを摂取してみたいものだ」
そう呟いた彼らの殿部に肛門は存在していなかった。
進化 @toumorokosi-cha
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます