ロールキャベツ
@_____hana
夢
最近、妙な夢を見る。昨晩は、クイズ大会に出場するなんて夢を見た。しかしながら出題された問題ははっきり覚えているのに、答える前に起きてしまい、答えがわからないという事件が発生。暇さえあればクイズの答えを考えている。「飛行機ではなくて、上に進んで、前の日のごはんがちょっとだけ豪華になる乗り物」って何だろうか。夢って不思議なものである。
ちなみに今は仕事が終わり、家に帰ってきたところだ。今日も疲れた。今日なんて上司が、私が昨日渡したはずである今日の重要な会議の資料がないって言いだしたものだからさあ大変。昨日の記憶を駆け巡らせ、昨日ちゃんと渡したよな、いや渡してないかもしれない。そんなことより探せ、探せ。結局2時間探して上司のパソコンのキーボードと画面の間に挟まっていたなんて誰が考えただろうか。今日は疲れた。いや今週はとにかく疲れた。さあ今日はフライデーナイトだ。明日は休み明後日も休み。何が食べたい何を食べよう。
そうだ今日は、ロールキャベツを作ろう。そうだそうだ、母さんが作ってくれたロールキャベツ、おいしかったもの。そういやロールキャベツって肉とキャベツとなにを使うのだ?キャベツ、ひき肉、タマネギ、パン粉、卵、その他調味料もろもろ、か。うん、やってみよう。
そうと決まればいざ買い物へ。キャベツ、ひき肉、タマネギ、今回の主要キャストをお迎えに行かねば。キャベツは、確か冬キャベツは、中が詰まっていてずっしり重いのがいいって聞いた気がする。じゃあこの一番上の丸々太ったこの子ににしよう。ヒロインは君にまかせたぞ。次はタマネギ。表面の茶色い皮がしっかりと乾燥していてつやがあるタマネギは、これかな。よし君は脇役だが、重要な役柄なんだぞ。最後に肉だ。色鮮やかな君にしよう。やっぱりロールキャベツの中は肉以外考えられん。肉以外のロールキャベツがあるのだろうか。
そういえば母さんのロールキャベツにはもう一つ何かが入っていたような気がする。とろとろしていて、びよーんと伸びた。そうだ、チーズだ。たしかスライスチーズを丸めてひき肉の中に入れていた気がする。ついでにチーズも買っていこう。これでお迎え完了だ、あとは家に帰って、この子たちを変身させよう。
ロールキャベツって案外作り方は単純である。要するにハンバーグをキャベツで包むだけ、と言いたいところだが私は違う。不器用なのである。肉だねは、作れた。肉の間にしっかりチーズも入れた。しかし、お肉の洋服になるはずのキャベツが破れる、破れる。無残な姿だ。キャベツよ、すまぬ。そういえば母さんは楊枝の代わりにスパゲッティで止めていたが、私がやるとぼきぼきと折れるだけなのだ。スパゲッティなんかで止められやしない。爪楊枝にしておこう。まあ私が作るにしては上出来なのかな。良しとしよう。さあ君たち、だしとしょうゆとみりんのお風呂へレッツゴーだ。熱すぎる湯加減は、まあ我慢してくれ。あとは一時間煮込むだけ。嗚呼楽しみだ。その間に録画しておいたVS嵐でも見ようか。一時間ならなおさらちょうどいい。
一時間なんてあっという間だ。特に楽しい時間はあっという間に終わってしまうのだ。どれどれ、落し蓋を退けると食欲をそそる煙が空腹な私を襲う。うん、いい感じである。作りすぎただろうか、七つも作ってしまった。でもいいとしよう。明日の朝のほうが、味が染みて美味しいかもしれないぞ。とりあえず今日は四つ食べよう。煮汁をたっぷりかけてケチャップもたくさんかけてしまおう。小さい頃はケチャップをいっぱいかけて母さんに怒られたっけ。けどいま私は自由の身。誰がなんと言おうとケチャップをいっぱいかけるのだという謎の使命感。
出来た、出来た、完成だ。いざ実食。いただきます。一つ箸で持ってみると、ずっしり重量感がある。頑張って巻いた甲斐があったようだ。抜群にうまい。料理って偉大だ。もうさっきまで疲れていたことが嘘みたい。いや嘘だったのかもしれない。そんなことを考えていたらもう、ない。いつの間にかスープまで飲み干している。自分でも衝撃。残っている分も食べてしまおうか。いやいや、いかん。明日の朝、味が染み染みになったロールキャベツを食べたくないのか、私。食べたいではないか。もうちょっと食べたいぐらいのラインで止めておいたほうが、明日もっと美味しいかもしれない。今日はここでやめておこう。うん。ごちそうさまでした。美味しかった。また作ろう。後片付けをして、お風呂に入って、歯を磨いて、おやすみなさい。明日のロールキャベツが楽しみだ。
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