第12話 極魔新入生武道会6
「皆さまお待ちかね。決勝戦の試合がそろそろ始まります!選手二名入場してください!」
ふぅ、出番か。正直、相手の力は未知数(龍ジジイのせい)。俺の封印魔法をどれだけ開放すれば勝てるのか、そこなんだよな。龍仙の弟子、更にあの龍のジジイが見込んだ程の相手。封印魔法の一個や二個は、普通に破られるだろう。あの準決勝の時の魔力に当てられて俺の魔力が、警告していた、それほどの相手なのだ。あいつは、
「頑張れー!オウマー!」
「今回も凄い技を見せてくれー!」
良し!最初と比べれば結構な高評価だ、ていうか最初の評価が低すぎた。お、あいつが来た。
「おお!来たぞー!」
「頑張ってくれー!キリエさーん!」
「応援ありがとう!こんにちは、オウマさん。お互い悔いのない試合にしましょう?」
「いいですよ」
優しい言葉と裏腹に、とてつもない殺意だな、真っ赤な情熱の炎の如き目。その中にある絶対零度の如き冷たさ、美人なだけに、そんな顔されると怖いぞ。
「快進撃は未だ止まらず!圧倒的なまでの力を持った今年の首席!オウマ=ゲッカ!対して、先程の戦いにて龍の力を見せてくれた五大令嬢の一人!キリエ=アスカ!試合テーマは、これまた自由!流石にこれじゃなきゃ観客は満足しないぞ!」
会場の盛り上がりは最高潮!そうだ、これで学年最強が決まる。それと、案外楽しめそうでワクワクしている、
「では!オウマVSキリエ!さあ、勝者はいかに!試合開始!」
「じゃあ、小手調べから」
とキリエが言った、
「龍仙流 一の龍
その言葉が合図になり、虚空から巨大な拳が出てきた、その拳は、キリエの動きと連携して王魔を、強襲、それが何度も何度も直接体に来るのだ、普通なら瀕死になる――だが、それは普通の人間だった場合だ。今の王魔は到底人間の枠には、当てはまらない!一種の化け物だ!
「お前のやる気に当てられて封印魔法が一気に二個外れてしまった、後悔するなよ?」
<魔法コマンド…最上級攻撃型空間魔法>
<魔法名…空虚な者の拳>
<魔法効果…空間に有るあらゆる属性を組み入れて全属性の特性を持った拳を創造する。発動者の意思によって属性を変化させ常に有利な状況にできる。>
「さて、こっからが俺のターンだ」
空間を丸ごと固めて作られた拳は想像以上の硬度を持っていた、相手が炎属性ならこっちは氷属性の攻撃で!片方は、溶岩の如き熱量を持った波動、はたまたこっちは絶対零度の波動、俺達の魔力の波動で気絶しかけているのが何人、視界の端で見えるが今は…こっちのほうが優先だ!!これほどまで充実した時間は、この世界に来てから一度もない!最高だ!
「グッ!なら!龍仙流 強の龍 龍鬼解放!」
なんだ!この魔力!全身の毛穴から冷や汗がドッと出てくる!
「龍仙流 四の龍
その瞬間、キリエの頭上の空間がパックリ裂けそこからトゲトゲしい突き刺さるようなプレッシャーを放つ龍が出てき、口を開けたと思ったら雷で出来た槍が形成された、それが光ったと思ったら既に俺の眼の前までに迫っていた、俺の危機察知能力でギリギリ避けたが、それが地面に刺さった瞬間…莫大な緊迫感が襲った!そこから、槍が激しく弾けた、そこには、龍の爪で抉られたような跡が残った、
「な!この威力、槍仙の!?」
「これが、仙の統率者、龍仙の力!」
だが、何か引っかかる。スケイルのとは何かが違う、何だ、この違和感は、
「考え事する、暇はないな」
<魔法コマンド…特殊封印魔法>
<魔法名…
<魔法効果…第一安全装置を外すこれにより本来のステータスの十分の一の力が解放される>
「ふぅ、ここまで来ると体が軽くなってくる」
<魔法コマンド…最上級攻撃型神・悪魔法>
<魔法名…
<魔法効果…
その言葉が切っ掛けに、地面から黒い触手がうじゃうじゃ出てきた。これは、触れると毒状態にし特定の回数に達すると全身に激痛が走り気絶してしまう、更に当たった本人は気づかないというおまけつき、
「効かん!そんな、小手先の技で通用するか!」
「小手先だけ、ね。それはどうかな?」
「何?」
底から、先程の物とは比べ物にならない程禍々しい魔力を宿した双椀が出てきた、その威力は先程は一味も二味も違う!
「きゅ、急に、強くなった!」
「それが、この魔法の怖いとこ、斬れば斬るだけ怨念が積もって威力が上がるっていうのが、この魔法最大の武器!」
「く、アッ!」
良し!良し!そうだ!早く終われ!なまじタフは地獄を見ると昔から決まっているんだ!早く倒れれば楽になれるぞ。
「なーにしとるんじゃ!キリエ!早く本気出すのじゃ!」
「あのクソジジイ!あそこにいたのか!」
「人の師匠をクソジジイ呼びすんな!分かりました!師匠!」
なんだ!?キリエの周りに魔力が渦を巻いて集まってきた、
「光栄に思うがいい、この技を見るのは師匠を除いてオウマ、お前だけ、存分に味わえ!」
「龍仙流 神の龍 龍神顕現」
その時、空間がひび割れたと感じる程の魔力を感じた、全員悟ったここからが本当の戦いだと。
~一方とある世界の深淵~
殺しの魔王「へ~、案外、強いじゃん?この子」
魔道具の魔王「あの子からは、ゼノークと同じ感じがするよ、どことなく雰囲気が似てる気がするよ。僕は、気に入った。てい言うかシャイニングは?」
剣の魔王「あいつは、自分の国に来客があるからとそっちに行った」
癒しの魔王「あの人以外と律儀なんだよね~」
魔法の魔王「魔力も超一流すぐ魔王種への進化を遂げるだろう」
叡智の魔王「じゃあ、これからもその少年の監視をするってことで?」
『異議なし!』
とこうして、また話題になる王魔なのであった。
第12話終了
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