こいつらなんか変ですよ!?

さぃとぅ

序章 入学

 入学式の日、僕「利府 仁田りふ じんた」は入学予定の「竹佐々高校りふたけささこうこう」の自分の教室、一年九組の黒板に張り出している自分の座席に座っていた。しかし、仁田以外に人はいないそれもそうだろう、始業が八時半なのに対して仁田が教室についたのが六時半なのだから、入学式ということもあり部活の朝練に来ている生徒もいない。

「ガラガラガラッ」リズムよいドアのあの昔から何故なっているのかわからない音とともにドアが開いた。すると、一人の少女が背中まで伸びた艶のある黒髪をひらひらとなびかせながら教室に入ってきた、「あら、私より先に人が来ていたとは。」少し驚いた顔でこちらを見てそうつぶやいた少女、普通最初は挨拶なんじゃね!?と思ったが口には出さず「おっ、おはよう。よろしく」とだけ返した。すると彼女もそれに応え、「こちらこそよろしくお願いします。私、「中条 なかじょう ともえ」といいます」軽く会釈をしそう言う彼女の顔はよく見ると、とても整った顔立ちをしていた。かわいいというよりも美しいといった形容詞が似合う和風美女だった。「あっ、僕は利府 仁田って言います」彼女の美しさに見とれながら僕も自己紹介をした。「りふくんかぁ~、よびにくいなぁ。下の名前で呼んでもいい?」彼女からの提案に思わず声を失ってしっまた、おそらく僕の口は今わずかに開きっぱなしであろう。「あっ!ごめんなさい!初めて会ったのに急に下の名前で呼ぶなんて変よね、、、」僕の顔は予想以上に間抜け面だったのだろう、彼女に謝罪をさせてしまった。中条さんは少し顔を赤らめながら黒板の張り紙に自分の名前を探しに行ってしまった。「(はぁ~、、、やってしまった、僕みたいな陰キャが女子と喋れる貴重な機会にしくじってしまった、しゃべる前に「あっ」とかつけちゃったよ!絶対キモがられてるよ!どうしよう、顔見知りがいないから第一印象だけでも良くしておこうと思ったのに、、、)」そんな後悔をしていたら、自分の席の場所を確認した中条さんがこっちに歩いてきて僕の斜め後ろの席に座ったではないか!「席ぃ、近くですね」(ニコッ)。「(天使かこの人!?)」「はっ、はい!そうですね!」もっとなんかあっただろう利府仁田!もっと次の会話につなげれるような会話はなかったのか?「なんで、初日から席が名簿順じゃないんでしょうね?」そう、僕も最初座席表を見たとき思ったのだが、普通入学して最初の席といえば名前の順番で座るはずなのだが、ら行の僕に対してな行の中条さんは僕よりも右側にいないといけないのだが中条さんの席は僕の左後ろなのだ、担任が意図して変えたとしか言えない席順、、、なぜだろうか?「座席票の一番目を確認したけど、佐藤が一番前でその後ろが山田だったよ」なるほど、、、佐藤の後に山田かー。本当にわけわかんねぇなこの席順、、、。

 すると、また教室のドアが開いた「うぃーす!ってあれ?二人だけか、、、」元気な運動部挨拶とともに頭丸刈りの坊さんみたいなやつが入ってきた。もちろん制服は着ている。「おっ、おはよう」中条さんの時と全く同じトーンだが今回は仕方がないだろう、急にこんなテンション高いのぶつけられたら誰でも動揺するって!「おはよう、私中条っていうのよろしくね」全く動じずに自己紹介する中条さん、さすがだぁ~。「おう!中条さんか!よろしくぅー!で、そっちのあんたは?」わぉ!すごい無邪気な笑顔、言葉は雑だが悪い奴ではなさそう。「利府仁田です」「おう利府っていうんか、よろしくぅー。てかお前の名前呼びにくいな!リーフでええか?」「え?リーフ」「せやせや、お前のあだ名や!決まりや、お前のあだ名はリーフやリーフ、葉っぱや葉っぱ」「はぁ、葉っぱ、、、」「あっ、あとワイ「小田切 おだぎり ゆう」っちゅうンや!よろしゅう!」まさかこんないかにも陽キャな奴にあだ名をつけられるとは思ってもいなかったな、「いいわねリーフってあだ名!涼しそう!」中条さん、無理してポジティブにとらえなくていいんですよ。「せや!中条さんもあだn」「結構ですよ!!」おぉ!威圧感ありますね、中条さん顔は笑ってるけど完全に怒ってるやつだ、それだけはわかる、、、「おっ、おう。すまんな、あだ名付けられるの嫌いな奴もおるよなすまんすまん!」そんな会話をしながらも自分の席を見つけて腰を下ろす小田切、席は大体教室のど真ん中。物理的にも精神的にもクラスの中心になりそうなやつだ。昔から声のでかいやつは嫌いだが、何故かこいつに対しては悪い気はしなかった。そんなこんなで時間も七時を過ぎて続々と生徒たちが教室に入ってきては意味不明な席順に首をかしげては考えることをやめ席に着いた。そして、始業を告げるチャイムが鳴り響いた。

 しばらくして僕たちの担任と思われる人が入ってきた。「えぇー、今日から一年間君たちの担任をする「国領 楓」といいます。よろしくね」キリっとした名字にキリっとした顔立ち、キリっとしたスーツに身を包んでいるが胸とおしりは「ボイン」だ、すでにクラスの男子何名かは鼻の下がのびっきて落ちそうだ、実際ほとんどの男性が興奮を覚えるほどのナイスバディだ、控えめに言って眼福です!「じゃあ今から体育館で校長先生のありがたいお言葉を聞きに行くからみんな遅れないように来てね」「「はぁーい」」といった感じで細かい説明はこの後なのだろう、先生はいったん職員室に戻り生徒たちは学校指定の体育館シューズをもって軽く近くの人と自己紹介を交えた雑談をしながら体育館を目指した。そのあとはよくある校長先生のお話と新入生代表の志を聞いて教室に戻ってきた。「はーい、みんな席に着いたねぇ。そして、みんな気づいてると思うけどこの教室の席順は名前順じゃありませーン。じゃあなんの順番でしょー?」みんなが気になっていたことはもうすぐ答えがわかるようだ、みんな考えてみるがこれといった憶測は立たないようだ。「じゃあ正解言うね?実はこれ学校から家が近い人順になってまぁーす!」クラスは一瞬にして静まり返った。それもそのはずだ、クラス全員の情報として住所は把握していても距離に関しては一つ一つ調べないといけないのだから、、、この教師は今それをやり遂げたと公言したのだ、小学校の先生なら家庭訪問があるのである程度の距離感を把握していてもおかしくないのだがなんせこの人は高校教師だクラスには電車通学の人もいるだろう、だからこそこのひとのやったことは本当に頭おかしいのだ。「先生、、、マジすか?」小田切が恐る恐るそう質問した、おそらく僕とおんなじことをあいつも思ったのだろう「えぇ、マジです!ちなみに小田切君より前は徒歩通学者、思ったより多いよねぇ、利府くんから後ろは全員電車通学よ」そんなことを淡々と説明する国領先生、その努力の方向に恐怖を覚えながらも中条さんもおんなじ電車通学であることに少しうれしさを感じる僕であった、、、。

「とんでもない担任がきたもんだ、、、ハハッ」思わず口から零れ落ちたひと言だった。

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こいつらなんか変ですよ!? さぃとぅ @seiseiyayaya1

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