ケアマネージャーには気をつけろ! 2

 母の退院が近づいて来た。

 脊椎の圧迫骨折の手術後、リハビリ入院をしていたのだ。

 立って歩けるまで回復したわけでは無いのだが、入院日数には限度がある。

 国の方針。

 介護などで「施設、病院から在宅へ」の一部なのだろうか、入院日数には制限があるのだ。


 それでも、医師の見解としては、最初の想定よりも動けるようになっていると言う事なので、良しとするしかない。

 退院後、外来通院によるリハビリも選択できるのかと思っていたのだが、病院ではできないと言われた。

 この先のリハビリは、デイサービスなどの、福祉施設で行うことになる。

 医療保険ではなく、介護保険でする事になるらしいのだ。


 でも母は、デイサービスについては、嫌がっている。

 入浴とリハビリで、何とか週一回は行くことを容認してくれているのが現状だ。

 初めはお試しでいくつかの施設を試してみて、気に入った所が有れば、そこにお願いしようと思う。


 そこでケアマネージャーが、一番最初のお試しプランを持ってきた。

 持ってきたその施設と言うのが、寄りにもよって市内で唯一、虐待事件を起こしてニュースになった施設だった。

 施設名が変わっていたので、一瞬見逃したがすぐに気が付いて電話を入れた。


「△△△って、前は×××ですよね」

「前の×××ですよ」


 施設名が変わっていたのは知っていた。


「×××って、以前虐待事件があって施設名が変わった所ですよ」

「すいません。そういう経緯で施設名が変わったことは、知りませんでした」

 ………。

 調べろ。

 買収されて、相手先のブランドに吸収されたのでなければ、何かやらかしたに決まってるだろ。

 実際、経営母体は変わってない。

 少なくとも、職業でケアマネージャーをしているのだから、施設名の変更に、もっと敏感になれ。

 そして調べろ。


「以前問題はありましたが、改善して、現在はとても評判の良い、満足度の高い施設になっていますので、安心してください」

 そう言って持ってくるのが仕事だ。

 それを、知りませんでしただと。


 私が今まで調べてみたところで、△△△には良い評価が見つからない。

 ネットの口コミでも、施設と全く関係ないコメントでの高評価が一件。

 クレームの最低評価が一件。

 試しに父が行っているデイサービスの口コミを見た。

 評価数は少ないけど、納得がいくコメントの高評価が一件、良いねが3。

 やっぱり△△△は、最低評価を付けられているのが気になる。

 今日は日曜日なので、事情を知ってそうな人達に直接聞いて回る事が出来ない。

 月曜日からそれをするとして、良い話、太鼓判が出てこないようだったら、ケアマネージャーのプランは却下する。

 最初のお試し施設は、キャンセルする。


 こんな余計な仕事までさせられている介護離職者に、ベーシックインカムを。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る