命削症
儷嚇
世界事情
命削症が蔓延しはじめたのは今から20年と少し前。初めは狂人と思われていたが時が経つにつれその異常性が露見し大陸議会を経て病気と認定された。
人族が住む大陸_リーリム_は9つの大国とその倍以上の小国からなる。
大陸議会とは各国の代表が集まり、外交やパンデミック、他大陸に関する対策をまとめる重要な会議である。定期だと3ヶ月に1度、異常事態が起こる毎に過半数の国が「議会を開催すべき」と声を上げれば開催される。
場所はその都度、運営委員会が決める。
さて、此度の命削症について議会は以下の議案が可決された。
・命削症罹患者、特に殺人衝動が出ている者は速やかに対処することを許可。ついては特殊部隊を組むことを許可する。
・各国の医療機関はこれの治療を最優先とし、他国と情報共有をする
これ以外にも細かな擦り合わせがされ、閉会。
今から18年前。
リーリム大陸の大国のひとつ、ユスリア王国は命削症罹患者に対する特殊部隊を設立。
今現在、王都に駐在している隊員は20名。他の街や村を含めればそう隊員数は100名を超える。
しかし隊員の健闘虚しく、罹患者の数は増える一方であった。その上殺人衝動を持つものが多い。
ここに10名罹患者がいたとしよう。その内の6名が殺人衝動を持つのだ。
隊員たちの疲弊は凄まじく、それを見かねた国の上層部は1つの計画を実施した。
ここでひとつ罹患者について記す。
命削症の初期症状は「緋」である。身体の何処かに緋の痣が出る。または片目が緋になったり、爪が緋にそまったりと視覚的な症状が現れる。この時は痛覚や諸感覚器官に異常はない。
この症状が現れてから数週間〜1ヶ月程度経つと徐々に痛覚がなくなってくる。
更に1〜2週間経つと理性が徐々に崩壊し、危険行動(流血を放置、暴力行為等)を起こしはじめる。この時に症状の分類が決まる。
末期になると理性は完全に消失し、衝動のまま生きる。言葉を忘れ、壊れたように笑いながら死ぬまでその行動を続ける。
痛覚を忘れた人間ほど恐ろしいものはなく、そのしぶとさ故に鎮圧側の苦労は絶えない。また、笑い声が耳にこびりつき精神を病む者も多いという。
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