俺の彼女がデレる日は遠いみたいだ

ネコlove

第1話

「私と付き合ってください」


「お、おう。俺でいいならこちらからもお願いしたい」


彼女いない歴=年齢 の俺に昨日初めて彼女ができた。

昨日の放課後体育館裏に呼ばれた時と、告白されたときに叫ばなかった俺を褒めてほしい。

あっ。でもあれだぞ? もちろんきちんと叫んだから。


「やったぞーーーーーーーー!!! 超可愛い彼女ができたーーーーー!!!」


って。

昨日の夜11時くらいにベランダに出て。


だって十七になって初めて彼女ができて、その彼女が超可愛いんだぞ?

逆に叫ばない方が相手に失礼だろ。


ちなみにその彼女はツンデレだと思う。

いや。絶対ツンデレだよ。


だってさ。

昨日告白されて、いいよっていったら、


「あっ。で、でも別に好きってわけじゃないんだからね?」


だってさ。

確定演出だろ。


そもそも好きじゃないやつに告白なんてしないだろ。



「ちょっ。おい! 誠也何ボーッとしてんだ? そっちボールいったぞ」


ん?

何か言ってたので顔を上g!?


最後に認識したのは白と黒の模様だけだった……。


♢♢♢


保健室で俺の看病をしながら彼女は言う。


「べ、別に心配したってわけじゃないんだからね?」


「はいはい。分かってるよ。ありがとな」


爽やかな笑顔で感謝を述べる。

もうこれでイチコロだよな……?


うーん。

て、照れてはないみたいだなぁ?

ちょっと気持ち悪いものを見るような目で見てきてるけど、それも照れ隠しだろ?

そうやってしないと顔がゆるゆるになっちゃうんだろ?


「あ、うん。ちょ、ちょっと気分悪くなっちゃったからお手洗い行ってくるね」


えーっと!?

あっ。そういうことか。

ちょっとそろそろ顔の緩みが抑えられなさそうだからトイレで落ち着かせてくるんだよな。


♢♢♢


あれからも俺は彼女のツンデレ発言をデレとして受け取ってきた。

まぁ、そんなすぐに素直になんてなれないだろうから大丈夫だ。

いくらでも待とうってことで待ち付けて今日で付き合い始めて3ヶ月目だ。


いろんなところに行った。

たとえば、水族館とか、ショッピングとか……。

……あれ?


あんま行ってなかったな。

今日で付き合い始めて三ヶ月なんだ。

そろそろデレるはずだ。


と思っていたら、その愛しの彼女からお呼び出しだ。

デレ期到来のお知らせかな?


「私たち別れましょ」


「へっ?」


「あなたも前、私があなたのこと嫌いって言った時、『分かってるよ』だの『俺も』だの言ってたじゃない。反対なんてしないわよね? サヨナラ」


え? だってそれはツンデレのテンプレのセリフだから本当は好きって意味じゃ……。

だから、俺もその好意に応えようと「分かってるよ」とか、「俺も」って言って……あれ?


「えーっと。へっ? デレ期は? ツンデレは?」


「デレ期? ツンデレ? あなたは何を言ってるの? 私罰ゲームで告白しただけなんだけど」


「あっ。あぁあぁ。知ってたよ?」


うん……うん? え、いや、知らなかったけど? つい頷いちゃったけど、普通に初耳ですけど!?

え? じゃあ別に彼女はツンデレって訳じゃなく……「嫌い」って言葉にはなんの裏もなく……シンプルに、俺のことが嫌いだったってことか?


「それは良かったわ。あっ。学校じゃ話しかけないでね。キモいから。前の保健室の時は本当に危なかったわ。それじゃ」


未だ混乱が収まらない俺に、彼女は「は〜やだやだ」とでも言いたげな表情で冷たい一瞥をくれると、足早にその場を立ち去った。


「……」


その去っていく背中を呆然と見つめながら、俺はただその場に立ち尽くしていた。

……どうやら、俺の初めての彼女はツンデレじゃなかったらしい。


♢♢♢


「私と付き合ってください」


俺は学年一の美少女に告白されていた。


「俺で良ければお願いします」


「あ、でも、べ、別に好きってわけじゃないんだからねっ!?」


「本当は?」


「ふぇっ?」


今回はゴリゴリ行こうと思う。

前回みたいに勘違いされないように。

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俺の彼女がデレる日は遠いみたいだ ネコlove @sakikou

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