六月四日、普通の向こう側

春嵐

1人の普通.

 普通の生活。普通の仕事。普通の恋愛。


 私の人生には、特筆するものが何もない。日記に並ぶのは、スーパーで買ったもののリストとレシートだけ。家計簿じゃん。


 家族や親族がいない部分は、周りから見れば普通じゃないかもしれない。でも、元々家族なんていなかったし、私にとっては、それが普通。


 夢や希望にあふれた生活なんて、それこそ夢のまた夢。そもそも、夢がない。寝てみる夢ぐらいしか。それに、起きるとすぐ、夢もしゃぼん玉みたいに弾けて消える。


 今日もまた、特になにも起こらず、普通。

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