無知で無力な異世界紀行〜ゼロスタートだけどせっかくの異世界なのでイロイロ観て廻ろうと思う〜

Shi-No

第1話

プロローグ





最後の記憶は、溟(くらい)水の感触と儚(くら)い銀色に揺蕩う煌めき


手を伸ばす

何かを手繰る様に

何かに縋る様に

何かを求める様に


どれだけ足掻けど、どれほど藻掻けど何にも掴めず

何にも触れれず

何にも届かない


足掻く力も失せてゆき

藻掻く心は沈みゆく


煌めく銀色は遥か遠く

意識も身体も沈んでいく


どこまでも深く…深く……

何処よりも闇い、黯(くらい)トコロまで………












(……………またか)


なんて思う程度には見慣れた夢。

夜の終わりを告げる、始まりの夢。

今日もまた退屈な一日が始まる。




……なんて思ってた時もありました


「ん?何処だ此処?」


自分の部屋じゃない

どころか屋内ですらない


辺りを見回せど、見渡す限りの大自然

人工物なんてありゃしない


「参ったな…全く意味解らん」


言いながらゴロ寝する

空を見上げる


…………訂正

人工物有ったわ

はるか上空、空の上


「ラピ。タってほんとに在ったんだなぁ」


なんて言ってみたり


「ありえねぇよな、あんなん。って事は地球じゃねぇよなぁココ」


幼少期には「ここじゃないどこかに…」なんて思ってたけど


「まさか実現するとはな」


とりあえずテンプレいっときますか


「ステータスオープン」


ちょっと張り切って言ってみた

これで出なかったらハズいわぁ

穴が無くても入りたい


おおぅ。ホントに出たわ、半透明なウィンドウ


「えっと、どれどれ……」


俺ってばどんなモンなんかね?


「…………………は?」


何だコレ?


「一番上って名前だよな?」


なんだよunknownって!?

俺はポ〇モンじゃねぇぞ!?


「他は全部No data…

結局何も解らんとか……無いわぁ…」


せめて項目だけでも分かればスキルとか、元の世界に無かったモノの存在を確認出来ると思ったのに


「unknownってことは、俺はこの世界に認知されてないって事かな?」


もしそうだとするならば、世界に認識されて初めて情報開示されるのかね


「なんにしても、人里に行かないと何にもならんな」


つーかそもそも近くに人里在るんかね?


見渡す限りの原っぱと森

遠くに聳える大山脈

見上げた空には天空の城


「一番近くの人工物がはるか上空とか無いわー」


絶対アレって、四天王とワタル倒して殿堂入りした後じゃないと入れないオツキミヤマのとこの洞窟みたいなヤツだと思うんだよね

んで、最奥部には70leveの奴が居るみたいな


「とりまどっち行こうかね」


森はねぇよなあ

なんの装備も無いし


「天気占いよろしく靴で決めるか」


蹴り上げて爪先の向いた先に行こう


「ど・ち・ら・に・い・こ・お・か・なっと」


高く蹴り上げた靴はクルクルと回り、放物線を描く


「やっべ飛ばし過ぎた」


言いつつ慌てて追いかける


「明日はーど〜お〜ち〜だ〜」


なんつって


「っげ!?」


マジかぁ…


「でも、隠れるとこは有りそうかな」


なんてポジティブな事言ってみる


「さて、腹括りますか」


当初の予定通り靴の示した先へと向う



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