セカイ
君と僕しかいない世界で生きている君を、私は知っている。君は僕と君の世界しか見れなくなっていて、私と交わした言葉も、私たちが見つけたサンショウウオが泳ぐ川も、君はもう全部、なかったことにしている。私の髪色が何色か、君はもう知らないのだ。君は僕の君の髪色がとても似合っていて、綺麗だと思うだけで、僕の君のことしか見ていない。君に手を差し伸べた私のことはなかったことにして、僕の君が差し出してくれた手を取って言うんだ。「僕には君だけだ」って。君の世界って君と僕の二人だけで、私のことも、私以外のもっと沢山の存在すら君のためならどうでもいいんだろうね。窓から見える君と僕の君が幸せそうに笑っているのをみて、君はもう、私のことを忘れてしまったのだと思った。
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