100センチ先、君の春

桜が嫌いなのは世界が桜ばかりを好きになるからだ。スマートフォンに残した桜の花びらの枚数を君は数えたこと、ないでしょう。そう言って君はひどい顔をして私を殴る。痛いのは心じゃないし、肌が、骨が、肉が、熱を持って君を憎めと命令する。君はそれを狙っている。桜を嫌いになった君は君が嫌いなのだ。美しいのは春だけでしょう。春が過ぎれば誰も見ないのは言い訳してくれないの?どんどんと先へ行ってしまう君は桜並木には目もくれずにシロツメクサの花冠をつくって私の頭に載せた。そろそろ私たち消えていくみたい。

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