第2話
広場に着いた俺は武人を探し始めた。
「え~っと、武人はどこだ?」
辺りを見回すと言っていた通り石像の前に、明るい茶髪で平均的な身長の人がいた。周囲きょろきょろ見回すような仕草があからさまで、一人だけ周囲よりも浮いている。
あ、あれかな?
「おうい、武人だよな」
「えっ、そうだけど……お前誰だよ?」
誰だよって言われてもちゃんと「行く」と言ったはずだけど……
「俺だよ、俺。真人」
「あぁ真人か。ってかお前来るん遅いんだよ!」
「悪い悪い。それよりこれからどうすんだよ」
「まぁまぁ話す前にフレンド登録しようぜ」
そういうことで武人から送られてきた『タケさんからフレンド要請がきました。承諾しますか?YES/NO』というメッセージのYESに触れる。
すると『タケさんとフレンドになりました』というメッセージウィンドが出た。
俺はそのメッセージを消すとタケが声を掛けてきた。
「お前は……ネストか」
「あぁ、で、そっちはタケだな」
この世界での名前を確認すると俺は話を戻した。
「で、どうすんだ?」
「そうだな、まずはレベルを上げるのが一般的だな」
「じゃあ早速狩りに出るのか?」
「そうしたいところだが、お前はどの武器を使うかってのは決めたのか?」
「あ……そういやまだ決めてない」
「ならもう今のうちに決めてしまえよ」
そう言ってタケが何やら手元で操作すると、突然俺の目の前にウインドウが開かれた。
食い入るように見てみると、そこにはこのゲームの武器一覧が簡単な説明とともに記載されていた。
「その中からお前が一番ピンときたやつにすればいいさ。このゲームは武器が一つに固定されないから変えたくなったら変えられる。ただ、スキルは上げ直しだからそう簡単に変更しにくいけどな」
「ふぅ~ん。タケはどれにするんだ?」
「俺は片手剣だな。オーソドックスだけどその分一番使い勝手がいいからな」
上から順に一覧を見ていくと、片手剣、双剣、大剣、太刀、槍、両手剣、短剣、斧、棍、とRPGでよく見る武器がずらりと並んでいる。やはりRPGの花形である片手剣に惹かれたが、その分使う人も多そうだ。槍や斧、棍も邪道な気がする。となれば双剣や短剣、両手剣辺りが狙い目だろうか。せっかくRPGをするんだから剣は使っておきたいし。
唸りながらウインドウをスクロールしていくと、一番最後に気になる単語を見つけた。
「魔法? このゲームには魔法もあるのか?」
「あぁ、魔法もこのゲームの醍醐味だな」
「じゃあ俺は魔法にする」
即決した。魔法をなんて人生で一度は憧れるもので、魔法が使えるようになれば気持ちいいだろう、という単調な考えだ。でもタケの言う通り俺が一番ピンときたものだし別にいいだろう。
「なるほどな。面白いと思うぞ」
その後もタケから説明を受けたり他の話しをしたりした後タケと別れた。
次は愛美だな。
ということで、次に愛美にも話を聞くことにした。
「あ、愛美? 俺だ。真人だけど……お前はこれからどうすんだ?」
「あ、お兄ちゃん? えっと、私はβの時のメンバーとギルドを作って狩るよ」
「武器はどうすんだ?」
「それは秘密。で、お兄ちゃんは?」
「ん? 俺か? 俺は魔法使いになろうかなと思ってるんだけど……」
「魔法か~。剣も少しは使えるようになっといた方がいいよ。これは、私の意見なんだけど、魔法だと基本は遠距離攻撃になるから接近戦になると弱いと思うんだ。パーティーだったら魔法は後方支援になるか、奇襲かのどっちかになると思う。パーティーじゃなくても敵と距離がある時はいいけど近づかれたら危ないんだよ。だから護身程度には剣も使える方がいいと思うよ」
へぇ~なるほどな。そこまで考えないといけないのか。
「そうか、わかった。参考にするよ」
「あ、私ゲームはマナって名前だからゲームしてる時はそう呼んでね」
「わかった」
その後、タケの時と同じように色々と説明を受けた後、通信を切った。
マナによるとFOは
さらに
FOはレベル兼スキル制でLvとSLvを両立して上げないといけないらしい。Lvばかりを上げると、ステータスは良くなるが、基本的なことしかできずシステムアシストによるスキルの発動が低レベルな物しか使えない。だから自分の動きでどうにかするしかなくなる。逆に、SLvばかり上げるとステータスが足らずどっちにしろスキルの発動は低レベルの物に限られ、さらにステータスが低いので行動も限られた上に剣を使っても良い武器は使えないため弱い。とのことだ。
広場の中を徘徊しながら自分の武器構成を考え直す。いつでも武器を変えることができると言ってもさっきマナから聞いた話だとSLvをまた一から上げていかなければならないため実質変更不可だと考えた方がいい。つまり、最初の決断が俺のVRMMO人生を大きく左右するというわけだ。
どうしよっかな~魔法使いにしたかったけど剣もかぁ……
広場中央の像の周りを二周ほどしたとき俺はマナのレクチャーを思い出して名案を思い付いた。
いっそのことどっちもにしよう。そういえば魔法と剣をどっちも使うのは普通でも、どっちもを両立して上げて強い人はβの時にはいなかったってマナが言ってたな。よし、魔法と剣をどっちも強くしてやろう。
そう決めた俺はとりあえずNPCのスキルショップに向かった。
NPCショップには五種類の店がある。
一つ目はスキルショップだ。ここではプレイヤーが使うスキルを売っている。でもまぁ、所詮はNPCの店だ。基本的なスキルしか売っていないからスキルショップを利用するのはゲームを始めて直ぐだけだろう。スキルショップではアイテムを売ることは出来ない。
二つ目は武具屋。武器や防具やアクセサリーなどの装備品を売っている。売っている武具は街が進んでいくにつれて強くなっていくから武具屋を利用する人は少なくない。武具屋では要らなくなった装備品なら売ることができる。
三つ目は道具屋。ここには狩りや冒険に必要な薬類を売っている。ポーションやハイポーション、解毒薬、MPウォーターなどだ。ここは先も言ったように狩りなどに必要なものが売っているためプレイヤーは道具屋に毎日のように来ている。因みにに道具屋では趣味に使う道具も売っている。
四つめはレストランだ。どうやらこの世界でも現実の空腹感があるらしい。だからこの世界での空腹は現実の空腹になるらしい。そのためFO内でもレストランがあり、食事をとることがでくる。食べた後はもちろん満腹感もあり、この世界では夜まで空腹を感じることはない。現実では一時的に脳が満腹を感じ、しばらくは何も食べられない。しかし、それはあくまで脳が感じるだけであって実際は何も食べていない。
FOで満腹だからといって現実では何も食べずにFO内のレストランでばかり食事をすると現実の体は栄養不足になり死んでしまう。実際既にVRMMOでゲームの中の食事しかとらなかった人が何人か栄養不足で死んでいる。
そういったことがあるのでFO内のレストランでの食事は気をつけなければならない。現実で食事をとらないのはせいぜい一食ぐらいだろう。
最後は食材屋。FO内でも料理をする事が出来て、レストランに行かずに自分で作る人のために食材を売っている店だ。今は利用するプレイヤーはいないだろうがしばらくするとプレイヤーが来出すだろう。ここではモンスターの肉などの食材を売ることができる。
俺はまず武具屋に来た。
店内のサンプルには、さっきタケから教わった武器、片手剣や両手剣、双剣、大剣、太刀、斧などが置いてある。
やはり候補は短剣、双剣、両手剣だったが、散々迷った挙げ句俺は両手剣にした。
よし、次は道具屋だ。
初期のお金は1500フィル。そこから両手剣を買ったので残り800フィルになっている。
俺は残りの800フィルでポーションが五個と解毒薬を四個買うとちょうどすっからかんになった。だから俺はお金を稼ぐべくはじまりの草原に行った。
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