第7話 ねえママ、あのね、あのね
ねえママ、あのね。
ベランダで洗濯物をひろげてるママ。
網戸に顔を押し当てて一生懸命話しかけたけど、
「何?何言ってるかよく聞こえないわあー!」
って言って、こっちをなかなか向いてくれない。
仕方なく今度は網戸を開けて頭だけベランダにのりだして、
「ねえママ?あのね?」って話しかけた。
「ぷっ!」
ママが突然笑い出した。
「顔に網戸の網目の形がついちゃってるわよ~!」って。
笑うとママはとってもいい感じ。ほっとする。いつもはね。
でも、笑われた!と思ったら、またおなかがぐるぐるしてきちゃった。
それで、「うー!」って言いながらママに頭突きをした。
よろけたママはまだ笑ってる。
「話すこと忘れちゃったじゃないか!」
ぼくはプンプンしながらママに言った。
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