44 天使であり続けたいの
亘は倉庫の壁に寄り掛かり体を休めていた。
どこまで歩けばいいのかと不安に思っていると、電車が走る音が聞こえた。
そちらの方向に歩いてみると、水路の向こう側に鉄道橋が見えた。今まで人がいる気配すらなかったが、駅まで行けば必ず人がいる。
すると、水路沿いに橋が架かっているのが発見した。橋というよりは水路を行き来する通路のようで、建物に隣接してあった。関係者以外は入るなと書いてあったが、今は仕方ないと階段を上がろうとした時、誰かが駆け寄ってきた音がした。
恐る恐る後ろを見てみると、こちらを振り向く
「放せ!はなせぇ!」
「くそガキ。まさか逃げ出すとはな。生かしておくのも面倒だな」
血を吸われて死ぬんだと思った瞬間、階段を駆け上がる足音がした。
真っ先に駆けつけたのはケリーだった。
そのまま
まんまと人質を奪われた
「やはり警察よりお前たちのほうが厄介だったな。俺はこのまま橋を渡って逃げるとする。そのガキを見捨てて俺を追いかける気ならそうすればいい」
シヴァは
「そうだな。俺達はお前を追いかける気はない。だが、後ろの奴はお前を逃がす気はないと思うぞ」
一瞬のことで反応が遅れ、抵抗するまもなく波夷羅の生気は抜き取られていく。肉体が
ミシェルはうつ伏せになった彼の体を蹴って仰向けにしヒールで踏みつける。体の自由が効かなくなった
「やぁ、ようやく会えたね、殺人鬼。それとも同種殺しって呼んだほうがいいのかな?」
分かりやすい嫌みを言うミシェルに対し、
「お前を悪いとは言わないよ。お前以上の悪事なら私は腐るほどやってきた。けど、お前のやり方は今の社会にそぐわない。だから、消えてもらうよ」
「人の社会を護るために、俺を消すのか」
「それだけじゃない。お前は私に刃を突き立てた。私からサミュエルを奪った。これはその報いだよ」
「復讐というわけか?下らないな。不確定な存在になぜ執着する。俺達にはそんな感情持ち合わせてないはずだ」
ミシェルは足を上げてもう一度、
「黙れよ、赤子が!
お前には分からないだろうね。永く生きれば生きるほど、同種にも情が生まれれてくる。怒りも悲しみも、愛情も友情も、私達の中に存在するのよ」
「そうやって人の真似をして、人になれると思っているのか?悪魔のくせに」
ミシェルは足を退けて
「確かに私は醜くて汚ない悪魔だよ。けど、こんな私を天使だって言ってくれる人がいた。だから、その人のために私は天使であり続けたいの」
ミシェルは
「確かにお前は天使だな。天使の面をした悪魔だ」
そう吐き捨て
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