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「ところでさあ、君も僕を不快にさせたよね? 」

思わず生唾を飲むと、それに気付いた悪魔は面倒くさそうに言った。

「いやいやいやいや、話ちゃんと聞いてた? まだ殺さないよ。そんなの面白くもなんともないもん。俺は一発芸より長編のコントが好きなんだ……

さあ!わかってるだろうけど、今日から君はこの部屋に住むんだよ~。勿論俺と一緒に。名案だろ? 家賃も食費も浮いていいじゃないか。Win-Winだ。

でも、二四時間一緒だからなあ……俺を飽きさせないようにしてよ? そうじゃないと、一緒にいられる時間が短くなって行くからね。とりあえず、君の家行って荷物取ってくるわ。俺ってやっぱり、超優しいなあ~」

僕に背を向け部屋を出ようとした悪魔は、ふと何か思い出したのかピタッと立ち止まった。

小さく聞こえたのは、

「今度からこれだけは言っておかなきゃなあ」という呟き。

そして、くるっと振り返った悪魔は、少年のような満面の笑みを浮かべ、聞き覚えのあるこんなことを言った。

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