紫陽花、揺雷

春嵐

紫陽花.

 揺れる。


 雨に打たれて、花びらを濡らす紫陽花。自分も、同じ気持ちでいる。この雨に、どう、受け止めていいのか分からない気持ちに。


 告白されて。いま、迷ってここにいる。


 私の迷いは、贅沢なもの、だろうか。


 好きな相手だった。この人と一緒にいたい。そう、想う。相手と同じ気持ちでいることだけは、たしか。


 それでも。心は揺れるし、ざわめく。雨の音に、波立つ。


 紫陽花。雨に打たれて、揺れる。この紫陽花も、私のように、誰かを待って、それでも、揺れているのだろうか。


 私は。


 彼に見合う女だろうか。


 一時の迷いで、彼が、惑っただけではないだろうか。こうやって、迷っている自分は。


 彼に、ふさわしいのだろうか。


 紫陽花と雨に揺さぶられて。ここにひとり、立っている。

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