第11話 

 私とサンドラの元には、この王都の街でスカウトした様々な人材が集まっている。

 サンドラは元々は子爵家の侍女として、私のお付きを務めていただけに、礼儀作法にはとても明るく、平民出身のキャバ嬢や黒服、ホスト君達の教育に、サンドラのお母さんと共に、頑張ってくれている。


 私は女子爵の称号も与えられてお金も十分にあるんだけど、相変わらずキャバ1号店になっているサンドラの実家の2階に3人で暮らしてるんだよ。


 なんだか全ての原点は此処のような気がして、お屋敷に引っ越す気にならないんだよね。


 私の主な仕事は、スカウト!

 今日も街を歩きながら、磨けば光りそうな女の子や、イケメン君達に声をかけまくる。


 このスタッフの採用だけは他の人には絶対に任せられないからね。

 基準がぶれちゃうと、レベルは保てない! 基本だよ。

 

 女の子達はいくら見た目が良くても、お客様との会話は苦手という子もいるから、スカウトしてホールデビューに辿り着けるのは半分くらいかな?


 デビューには至らなくても、スタイリストや裏方さんとして、採用する事も多いんだけどね。


 最近はいわゆる上流階級の人だけを相手にする形態である、高級会員制クラブをオープンした事も有って、貴族家の子女もそれなりの数が混ざり込んで来ている。


 でも兎人属のバニーウェイトレスや、猫人属の女の子を積極採用してるカジノのディーラーなどに対しての、差別的な態度を取れば、即解雇になる事は最初に伝えてあるから、残ってくれる子は貴族家の令嬢でも性格のいい子が多いんだよ。


 そしてこの世界では私のキャバや、クラブで働く子達はお水の女性として、下に見られることは無い!


 むしろ平民女性では、普通受けれないような礼儀作法の教育で在ったり、きめ細かな心配りを、常日頃から教え込んでいるので、結婚するならキャバ嬢が最高!と言う世間の流れにまでなっている。


 そのせいなのか知らないけど、最近街を歩く若者たちは私の目にとまる様に、お洒落に目覚めてる気がするな?


 今日も、街を歩いていたら、見覚えのある人影を見つけた。

「ミザリー、久しぶりね。旦那様はお元気かしら?」

「…… アゲハ。どうせ噂は聞いてるんでしょ? とっくに離婚したわよ」


「へぇそうだったんだ。噂ってどんなのかな? 私家を追い出されてるから、貴族家の情報何て入って来てなくて知らないわよ?」


 私が女子爵に陞爵している事を知ってる人など、ごく一部の高位貴族しかいないから、当然男爵令嬢のミザリーが知るわけもない。


 さぁどうしようかな?

 

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