第82話最高に幸せそうだった3
予約していた店は、焼き鳥系の居酒屋である。
人気がある上に定員二十名程のこじんまりとした店なので予約しないと一時間待ちは当たり前という人気店でもある。
もうすぐ二号店ができるとの事なので軌道にの手といるようで何よりだ。
「いらっしゃいっ!! 久しぶりだなっ!!水樹に山田っ!!」
「一週間ぶりだっつの」
「ははははっ!! まぁ、細かいことは気にするなやっ!!」
「木田くんは相変わらず元気ね」
「まぁ、元気だけが取り柄みたいなもんだからなっ!!」
そして、この焼き鳥系居酒屋なのだが何を隠そう水樹の友達であり私の友達である眞子の旦那さんでもある木田くんがあの頃と変わらない笑顔で出迎えてくれる。
高校、大学とアルバイトしていた焼き鳥系居酒屋で学んだ事を生かしたいと始めた店である。
ちなみに店ができた当初は眞子と二人三脚で運営していたのだが、今は身篭っている為自宅で安静にしている。
出産は三ヶ月後だそうだ。
正直いって羨ましい、理想の夫婦といった感じなのだが、それはまだ私たちが結婚していないだけであり、当然私たちが結婚さえすれば木田夫婦より高城夫婦の方が自他とも認める理想のおしどり夫婦になることは、太陽が東からのぼり西へ沈むくらい当たり前の決定事項である。
そして今週から金土の二日間はアルバイトとして今年から高校生になる木田くんの従姉妹である芽衣ちゃんを雇って二人で回していたりする。
「ひゃぁぁああっ!! 兄に、あの超絶イケメンは誰っ!? 誰誰誰ッ!?」
「あぁ、水樹って言って俺の親友であり、世界で二番目に幸せな奴だ。 勿論1番は俺と眞子な」
「兄にの事なんかどうでも良いんですけどッ!!」
「俺、これでもここのオーナーで店主なんだけど?」
そんなこんなで予約していた個室の席に通され一息つく。
「はい、どうせ頼むんだろう? 一緒に持ってきてやったぞ。 お通しの枝豆と生ビール」
「お、気が効くようになったじゃねぇか」
「ありがとうございます」
「本当、可愛くないなお前は。 そして山田さんは本当に良い人だな、うちの嫁さんの次に。 水樹にはもったいない」
「お言葉だが、お前の奥さんより美奈子の方が良い女だ。 そこだけは訂正させてもらおう」
「はいはい。 それじゃあゆっくりしてってな」
そしていつものやりとりをして、乾杯をする。
「ぷっっっっはぁっ!! 生き返るわねぇっ!!」
「あぁ、今週も一週間お疲れ様」
「水樹もねっ」
高校時代に親族の集まりで一度口にしたことがあるビールなのだが、あんなに苦くて不味いものをどうしてみんな美味しそうに飲むのだろうと思っていたのだけれども、今ならば心の底からビールの美味しさがわかるわねっ!!
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