第71話私も罪な女である3
あぁ、キスも良いけれども水樹に抱き締められるのも良いものだ。
どれだけ私を幸せにすれば気が済むのよ、全く。
そう思いながら、私は水樹の胸に顔を埋めるながら抱き締め返す。
あぁ、幸せだ。
「何幸せそうに水樹様の胸板に顔を埋めてんのよ、お姉ちゃん」
「うるさい。 私の彼氏なんだから何をしようが良いでしょう。 てかコンビニから帰って来たんなら帰ってきたって言いなさよ? それで、お父さんとお母さんはどうしたのよ?」
「は? お姉ちゃんが私の水樹様を襲っていないか気が気じゃないから先に一人で走って帰ってきたのよ」
「いや、奈央子には悪いけれども私、水樹の彼女だから別に襲っても何も問題にじゃない」
「
「全く、どういう理屈よそれ」
愚妹も愚妹なりに早くこの人でなければならないという恋愛をして欲しい物である。
幼いが故に身近にいる年上のお兄ちゃん的な異性に疑似恋愛をしているだけだ。
そのうち本当に好きになった相手と出会い、疑似恋愛ではなくて本当の恋愛をする筈である…………筈だよね?
我が愚妹ならば私達が例え結婚したとしても、このまま水樹にちょっかいをかけ続ける可能性がゼロではないのではないかという一抹の不安がよぎってしまう。
そんなこんなで家族でコタツを囲っていると家のチャイムが鳴り、お母さんがパタパタと玄関に向かう。
そしてやって来るは水樹のご両親である。
その光景を見て『彼氏の親公認の彼女』という肩書と『彼氏の両親と私の両親は仲良し』という肩書きも手にしたような、RPGでいうところの最強の装備を手にした時のような、そんな心強さと安心感を感じてしまう。
これはもう、婚約しているようなものと判断しても良いだろう。
まったり、まったり。
年末のテレビを観ながら和気藹々としながらも、ゆっくりと時間が過ぎていく。
いつの間にか彼氏の両親に会うのも、彼氏を私の両親に合わせるのも、今では羞恥心も緊張感もなく会う事も会わせる事もできるようになった。
ゆっくりと、でも振り返れば何も変わっていないようで確かに私たちは前に進んでいるんだという事が実感できて何だか嬉しく思う。
「さて、そろそろ初詣に行きましょうか」
「それもそうだな。今行けばちょうど着いて少し待てば年が明けるだろう」
そして私のお母さんの言葉を合図に私たちは初詣に向かう。
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