第62話彼氏の両親3
そんな両親には適当に入り口入って目の前の商品を三つ程見繕ってやった。
入り口の目の前に平置きしているという事はそこそこ人気の商品なのだろうから、もし文句があるのならば私ではなく購入した店舗までクレームを入れて欲しい。
まあでも選んだ商品はクッキーにご当地ラーメンにチョコ菓子なのでそこまでハズレでもないと私は思う。当たりでもないとは思うけれども、価値観は人それぞれである。
因みに私の分を選ぶのには小一時間以上はかかった気がするのだが、選んだ時間ではなく込められた気持ちが大事だと私は思う。
そして私はこないだ水樹と二人で行ったデートを振り返りながら塩ケンピを水樹の両親へと渡す。
そもそも、彼氏の両親に初めて会う時に渡す物が塩ケンピって、絶対違う気がするのだが、水樹の言っていた事を信じているわけではないものの、やはり不安なものは不安に感じてしまうものである。
「あら、そんな良いのにっ。 わざわざ買ってきてくれたのっ!? ありがとうっ!! なんてできたお嬢さんなんでしょうかっ!!」
「しかも塩ケンピじゃないかっ! コレ食べ始めると止まらないだよなぁ。 これだけで君は良いお嫁さんになれると断言できる。 もともと息子の話を聞いている限りできっと良い子なんだろうなと思ってはいたけれども、今回の件で確信したよ」
しかしそんな私の悩みなど杞憂であったようで、塩ケンピを水樹の両親へ渡すと、とても喜んで貰えたみたいで渡したこちらも嬉しく思う。
因みに母親の方は勢い余って私に抱きついてきたのだけれども、水樹が直ぐに剥がしてくれる。
そして、水樹の言う通り私が想像していたような、それこそテレビとかでよく見る、ブランドものに身を固めて庶民を見下すザお金持ちという感じではなく、お金持ちであると言わなければ分からないようなご両親達である。
正直かなり身構えていたので、良い意味で裏切られて、水樹の両親バレないようにホッと撫で下ろす。
「じゃぁ挨拶もしたし、部屋に入りましょうか」
「ああ、そうだね。 因みに今日は水樹の彼女が来るって聞いてたから夜ご飯は期待しておいてくれ」
そう、ほんわかした声音と雰囲気でいう水樹のご両親。
この人達なら、結婚した後も仲良くやって行けそうだと、まだ婚約すらしていないのにそんな事を思うのであった。
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