第4話恋する乙女のそれ
◆
いつもと変わらない朝。
眠気と戦いながらも何とか起き出して目覚ましを止め、学校へ向かう準備を始める。
そんな時私のスマホから短くもコミカルな電子音が鳴り誰かしらからの通知が来た事を告げてくれる。
「あ、珍しい。グランからだ………」
そしてスマホを手に取り画面を開くと数ヶ月ぶりになるグランからの通知であった。
そこには『今日、覚悟する様に』とだけ書かれているだけである。
「あのやろう。意味深な文を送りやがって。イベント周回耐久レースの事なのか何なのか分からないのだが今日学校から帰ってダイブしたら懲らしめてやるわっ!」
グランのメールで一気に目が覚めた私はそのままいそいそと制服へ着替えるのであった。
◆
「おはようー」
「はおはおー」
そして本日も予鈴より半刻程早く登校した私は、同じく早めに登校していた私の唯一の学友でもあり中学からの親友でもある斎藤眞子と共に朝の挨拶もそこそこにアプリゲームを立ち上げてイベントクエストの周回を始める。
「何だかこのアプリもイベントばっかりで本編のクエスト周る余裕が無いのだが」
「それなぁー、イベント多過ぎてもうね。イベント限定ガチャでしか稼げなくなってきてるんかなぁ?」
「いうてもう三年だしねぇ」
「初めの頃は面白かったねぇ」
「それは考えたら負けだよ」
「知ってる。しかし思わざるを得ない」
そしてどちらからともなく会話を始めてダラダラと、しかし手先は俊敏に動かしながら時間が流れていく。
「で、いつ告白するの?」
「いつってそりゃぁ………ってはぁっ!?告白って何よっ!?」
「あ、ミーコが今タゲ取ってんだからちゃんとキャラクター操作しなさいよっ!」
「ご、ごめん。って私が悪いのですかっ!?今の私が悪いのですかっ!?ねぇっ!?」
「あぁーうるさいうるさい。そうは言いますがねミーコ、貴女どう考えてもグランの事好きでしょう?オフ会とかしないの?」
「………………す」
「す?」
「好きでも何でも無いわっ!あんな奴っ!!」
「あぁ、さいですか。そういう事にしときましょか」
「そ、それに……………私の姿を見て幻滅されたく無い」
「あーー……………ま、それもそうだね」
いきなり何を言い出すのかと思わず叫んでしまうものの直ぐに現実と直面して昂った感情がしゅるしゅると萎んでいく。
「そ、そんなに分かりやすい?」
「あれで分からない方がおかしいって。ミーコ、グランと接する態度が完璧恋する乙女のそれになってる」
「ぐぬぬぬぬぬぬ、解せぬ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます