不思議の国の× × × 。

ゆづき。

Prolog

昔々、ある所に1人の少女がいました。

少女はしっかり者で、人たちから頼られていました。

「貴方なら大丈夫よね?」

「しっかりしてるから、1人でも平気でしょう?」

少女の周りの大人たちは皆こう言います。

『貴方なら大丈夫』『1人でもしっかりやれるはず』と。

少女は笑って頷きました。だって頼られるのは、とても嬉しいことですから。今日も1人で起きて、1人でご飯を作り、1人でご飯を食べます。いつもと同じ、独りぼっちの1日のスタートです。

今日は日曜日なので、教会に行く準備をしなくてはなりません。しっかりしなきゃ。お父さんもお母さんも、もうすぐ……もうすぐ帰ってくるのだから。

少女はお気に入りのトランプをリュックサックに入れ…ようとして、手を止めました。何故か涙が頬を伝ったからです。

いけない、泣いちゃダメ。しっかりしなきゃ。

そう思っても涙は止まってくれません。

…………頼られるのは嬉しいことです。

……でも…私は…ずっと……

「……寂しかったよ…」

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