第3話 聖女の仕事って?

 『でんか』という人は直ぐに見つかった。でも、お腹に太い木が刺さってて腕も一つなかった。目も薄く開いていて、もう死んじゃてるなっていうことがわかってしまったの。


「殿下。殿下。このようなところでお亡くなりになるなんて」

 

 大きな人が『でんか』という人にすがり付いて泣いている。何だかあの大きな人から黒いものが出てきているようにみえるなぁ。なんでだろう。


「お嬢さん。」


 おじいさんもこっちに来たみたい。


「お嬢さんなら殿下を生き返らすことはできませんか。」


 思ってもみなかった。死んだ人を生き返らすなんて、死んだら終わりなのに。

 白い神様からもらった力で出来るか視てみる。



 聖魔術

  聖女の祈りは神の奇跡

 4半刻(30分)以内に心の臓が止まったばかりでまだ、その対象人物の寿命が残っていること。ただし、対象人物は1度しか奇跡は起こらない。


 うん。できるみたい。


「心の臓が止まって4半刻以内なのと、まだ、寿命が残っていたら、生き返るみたい。」


「4半刻ですか。」


 確かに『でんか』が4半刻以内に死んだのかは分からないよね。


「できるのであれば、生き返らしてもらえませんか。」


「じゃ、やってみるけど、生き返るかは分からないよ。」


 おじいさんはそれでもいいって言ったので、大きな人に太い木を『でんか』から抜いてもらった。


「『聖女の祈りは神の奇跡』」


 すると『でんか』の周りに金色の光が集まってきて消えた。様子をみてみると


「ごっほっ。」


『でんか』が口から血の塊を吐いて生き返った。続いて、無くなった腕を治すための言葉を言うの。


「『聖女の慈愛』」


 これで大丈夫。もう、私がすることはないから、さよならしてもいいよね。


「ロビン行こう。」


「お待ちください。聖女様。」


 おじいさんに引き留められてしまった。


「我が国に来てもらえませんか。」


「国?でも、私は白い神様に言われて世界を浄化しなければならないんです。」


 そう言ったら、おじいさんが私の前に膝をついて、手を組みだした。


「やはり、神に会われましたか。神託の通り。素晴らしい。」


 言って、頭を下げ始めた。何か気味がわるい。


「尚更、我が国へ来ていただきたい。我らは神託を受け聖女様をお迎えに、こことは別の大陸から来た者なんです。どうか、聖女様のお手伝いを我々にさせてくださいませんか。」


 おじいさんがお手伝い?どういうことなんだろう?浄化を手伝ってくれるの?


「ロビンどうする?」


「僕はリアがいいのならついて行くよ。」


 うーん。


「何を手伝ってくれるの?」


「そうですな。遠くに行く必要があるなら、馬車や船を用意いたしましょう。住む場所も衣服も食事など、聖女様が世界を浄化するために必要な物を用意しましょう。」


「お金は必要ないの?」


「神へのご奉仕にお金は必要ありません。聖女様が浄化に専念できるように我々が補助をいたします。」


「ロビンお金はいらないんだって。じゃ、行ってもいいよね。」


「それはよかった。では我が国へ転移をいたしましょう。こちらへ、いらしてください。殿下もこちらへお疲れでしよう早く国に戻ってお休みくださいませ。」


 おじいさんに言われたとおり、側に行く。ロビンが隣に来てくれたので、転移が何かよく分からないので、なんだか怖いからロビンと手を繋いだの。『でんか』も大きな人もこちらに来た。おじいさんが大きな杖を取りだし。


「『転移』」


 頭がくらりとした。思わず下を向いたら足元が砂じゃなくて、石になってる。驚いて、周りをみわたすと、石の床の上にたくさんの長い木の板がキレイにならんで置いているけどイスかな。あんなにたくさん誰が座るんだろう。

 大きな長い柱の石もたくさんならんでそのまま上を見ると、たくさんの色に光った壁かな?絵かな?分からないけどすっごく綺麗だな。


「聖女様こちらへ。」


 おじいさんの後へ着いていく。


「お前はこっちだ。」


 ロビンが大きな人に腕を掴まれていた。


「ロビン。」


 ロビンの方に向かおうとするとおじいさんが


「色々説明があるので、こちらに来てください。また、直ぐに会えますよ。」


 そう言われたので、私はおじいさんの後について行った。



 白い部屋に連れていかれた。聖女のために用意された部屋なんだって。ロビンはどこに連れて行かれてしまったのだろう。早く会いたい。


 ここで、世界を廻るための準備をしていくらしいの、準備ができるまではここに来る人たちを治療してほしんだって。ここは『きょうかい』と言って神様をお祀りしているところらしいの。


 朝になった。ロビンとこんなに離れた事はなかったなぁ。早く会いたい。おじいさんに聞きたかったけど、会えないんだって、どうしてなんだろう。

 たくさんの人たちがやって来て、髪を触ったり、服の着替えさせられたり、ああ、気持ち悪い。ロビンに会いたい。


 朝から昼までよく分からないことを話された。貴族ってそもそも何?なんちゃら公爵?だから誰?取り敢えず来た順に治療すればいいのでしょ。ロビンに会わせてよ。


 昼から貴族という人が来た。丸いすごく丸い。ゲトゲトした手で触ってきた。気持ち悪い。足の先が腐ってきた?そんなのこんなに丸かったら体もおかしくなるでしょ。私が治療しても、また腐り出すよ。


 骨がよく折れる?そんなに細くて白ければ折れるでしょ。私の治療意味なくない?


 なんで普通に過ごせばそんなことならないのに、それが出来ない人に私の治療は必要なの?ロビンを連れてきてよ。


 ああ、ロビンに会いたい。どこにいるの。誰に聞いても会わせてもらえない。



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

補足

転移は一度行ったことのある場所にしかいけません。なので、猊下のおじいさんは聖女を迎えに来て、出来るだけ早く聖女を国に連れて帰るために 、一緒に行動をしなければならなかったのです。



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