第2話 世間は厳しいのね

 16歳になった。ロビンと一緒に暮らす約束していたけれど、聖女としてのお役目を果すために旅にでることにしたの。


 この一年いろんなことをしてきたの、聖女の力は何も知らなかったけど、生まれてかずっと使っていたかのように簡単には使えてしまった。だって、決まった言葉を言えばいいだけだもの。


 まずは怪我をした村の人たちを治すことをしたの。大抵が切り傷とか腰痛とか大きな怪我を治すことはなかったけど、きっとできるはず。


 次は、白い神様が言っていた心の闇の浄化をすること。村の周りには全然そんなもの無くて、隣町に買い出しに着いて行った時に、私にしか見えない黒いもやを見つけたので浄化をしてみたら、ちゃんと浄化することができた。よかった。


 ロビンは聖剣って言われたから剣をもつべきなんだろうけど、村にそんなものはなく、木の棒を持ちやすいように削って作ったものを持ち歩いている。


 剣の練習もしているようだけど、剣を教えてくれる先生がいないから剣の使い方が合っているかもわからない。でも、ロビンなら大丈夫な気がするの。


 そして、16歳になって村の周りには黒いもやはないので、旅をしながら黒いもやを探すことにしたの。


 たくさん歩いて、たくさんの黒いもやを浄化したの。でも、慣れないこともいっぱい体験したの。

 お金というものがあるなんて知らなくて、その辺で取ってきた薬草を出して、並んでいる果物を食べたら、たくさん怒られしまった。村では欲しいものは物と物で交換していて必要がなかったから。


 畑にあるものも勝手に取ってはいけないってことも知らなかったの。これもたくさん怒られてしまった。あっ、川のものは採っても大丈夫だって、それはとても助かったわ。だって、お金は持っていないもの。


 でも、最近はロビンが獣を狩ってきたものを毛皮にして売ることで、お金が手に入るようになったの。町の中に剣が落ちているなんて、不思議なことがあるのね。


 この一年本当にいろいろあったけど、ロビンが一緒にいてくれたから幸せだったの。楽しいことも、辛かったことも、くじけそうになったことも、全部二人で分かち合えて来たから幸せなの。


 1年かけて村からまっすぐに歩いて行ったら、大きな水溜まりにぶつかってしまった。この先どうすればいいのだろう。仕方が無く太陽が昇る方に向かうことにしたの。


 大きな水溜まりに沿って進んでいたら、白い砂の上にたくさんの木の残骸が散らばっていたの。キラキラしたものも落ちていたので気になって側まで行けば赤い石や青い石、緑の石が落ちていたので全部見える分は拾っておいたの。お金になるといいな。


 その残骸の中を歩いていたら、人が倒れていた。足が一本足りないみたい。


 とても大きな人だった。村や町で見たことがないぐらい。


「うっ。」


「リア、まだ生きているみたいだね」


「治してあげる。『聖女の慈愛』」


 無くなっていた足も生えてきた。もう大丈夫みたい。


「うっ。ここは」


「怪我治ったからもう大丈夫だよね。」


「君たちは・・・はっ。殿下。猊下。どこにおられますか。」


 大きな人は木の残骸の中を何か探しているみたい。


「猊下!君たち残骸を動かすのを手伝ってくれ。」


 どうやら、まだ人がいるみたい。行ってみると白いお髭が長いおじいさんが木に埋もれていた。これは3人いても無理だよね。


「ちょっと下がって」


 ロビンが剣を構えた、どうするのかな。ロビンが剣を振った。まあ、私にはロビンの剣の先なんて見えないから何を切っているかはわからないんだけどね。


 ロビンが剣を振ったら、おじいさんの上にある木の残骸が小さくなったの。なんでそうなったか分からないけど、ロビンはすごいね。


 おじいさんは胸から木が生えていた。まわりは赤く染まっている。


「猊下。猊下。しっかりしてください。」


「ぐっ。ヒュー。」


 生きていた。でも息ができていないみたい。


「ロビン。胸の木を抜いてあげて。」


「わかった。おじさん、その人の胸の木を抜くから手伝って。」


「近づくなお前ごときが簡単に近づけるような御方ではない。」


「でも、リアが治すと、木がそのままになっちゃうよ。」


「治す・・・。」


「おじさんもリアに足を治してもらったでしょ。」


 大きな人は自分の足を見ている覚えていないのかな。


「━━っ━━ぃ━━━。」


「はい。仰せのとおりに。」


 おじいさんが何かを言ったみたい。聞こえなかったけど。


「娘。こちらに来て猊下の治療をしなさい。」


 大きな人に言われておじいさんのところに近づく。


「私が猊下を押さえるのでお前が木を抜いたら、娘、すぐに治療をしなさい。」


「わかったよ。」


 そうして、ロビンが木を抜いたら、直ぐに傷を癒した。

「『聖女の慈愛』」


胸の傷が小さくなって消えていく。これで、いいよね。


「おお。━━ぅ━━。」


 大きな人が膝をついて、手を組んで何をしているのかな。おじいさんを押さえるんじゃないの?


「これは、本当に傷がない。」


 おじいさんが起き上がって傷の確認をしている。白い神様からもらった力なんだから治るに決まっているじゃない。


「猊下。殿下の所在が確認出来ておりませんので、御前失礼してもよろしいでしょうか。」


「それはいけない。早く探しなさい。」


「はっ。君たちも人を探してくれ、金髪の青い目の御方だ。」


 そうして、私もロビンも『でんか』という人を探すことになったの。


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