第3話

夜になり、自分との戦にも何とか耐えた。取ってきた木の実や草の匂い、見た目などを覚える。とはいってもどれも色が違う程度で大差ない。ピンクと紫、黄緑と緑。緑は紫やピンクの丸い実が生っていた木にもなっていた。多分若い実だろう。今回は試しに早めにとって色が変わって食べられるかを確かめる。どれも手のひらに十粒ぐらい乗る大きさだ。もっと小さいのもあったが全部同じぐらいの大きさを採ってきた。緑は硬くてすっぱくて渋くて食えたもんじゃない。渋柿みたいに干せば食べられるんかな?ほかの色付き三つの実はどれも甘くてシャキッと食べられるワッサークイーンのような感じ。

向こうの大陸だと若干全部甘くなく酸っぱかった。これは種類の違いなのか育った場所のなにかによって味が違うのか。これはもし定住地見つけられたら研究してみるのもいいかもしれない。

後は草だ。一言でいえば雑草だろう。食べたら腹を壊すかもしれないが向こうでもずっと食べてきた。雑草って意外と甘かったりするのもあるんだよね。茎の中にある水分とかが。ある意味それ目的でとってきているようなものだ。少しでも味を楽しみたいがゆえに雑草まで食べている。なめてるだけのもあるけど…。


そんなこんなやっていると完全に深夜だ。というより、この世界にこの体はなじんでいるのか地球の倍以上の一日があるこの世界でも夜になると眠くなる。逆に昼間は活発的に体を動かしたくなる。うーん…いいね。昼夜逆転しなきゃいいが。

そんなちょっとした疑問を考えていると空が気になった。あの鳥がいないのだ。夜しかいないあいつが。全然見えないのだ。あっちとちっがって数が少ないのかいないのか。ちょっと怖いな。もしかしたら、もっと強いモンスターがいて他のモンスターがいないとかそんなんじゃないよね?ね?

うーん今は考えても仕方がない。寝るか。

「死ねても、生き返るのは違う意味で地獄だな」

そんな考えとともに眠気が襲ってきて、気が付くと朝日が昇ってきていた。



朝は早い。まず寝床から出る前に安全確認。安全に生き残るためだ。まあ、死んでも生き返るというより再生成されるからあまり意味はないが、集めたものとかをまた集め直すのが面倒くさい。たまたまわかる場所に出て荷物を取りに行けない限り本当に面倒くさいので安全確認だ。初日の見逃し死がないように念入りに確認する。


次に水場だ。向かう途中もしっかりと周囲に気おつける。小さいあり?みたいな奴らは未だにどうしようもないが自分の腰ぐらいの大きさの奴らは見つけることができる。はず…


で、体を洗う。臭いのは嫌だからね。念入りに洗う。で、よく考えたら、1回もトイレしたことない。どうなっているんだ。まあいい。で穴に戻って木の実を食べる。空腹感はしっかりあるんだ。とにかく食べなきゃいけない。

あとは移動する準備をして安全確認。そして穴を出る。ここともお別れだ。にしても、相変わらずこっちの陸は地面が柔らかい。自分は薄着で体も軽いからくっきりと足跡が残らないがこれがもう少し重い人だったら足跡もっとくっきり残るんだろうなーって。あと、木の配置が全体的に狭くて地面から出ている木の太い根っこも多い。あっちは根っこがあった木もあったが、ほとんどが踏み潰されていた。こっちは綺麗に残っている。大型のモンスターとかいないのかな?

海から離れるように内陸に進む。木が大量に生えているから先がどうなっているかはわからない。地面も柔らかい土からふわふわしたコケに変わった。木にもコケが生えていて角度50度ぐらいの日差しがとても綺麗に森に入ってきている。


「あれは…」


歩いていたら何か動くものが目に入った。こっちの大陸では草食のモンスターしか見ていなかったが、なんか光に当たって反射してきた。しかも動いている。人?なのかなー、分からない。とりあえず音を立てないように木の影に隠れて様子を見る。

相手は三人?かな。軽装で多少金属音を鳴らしながら姿勢低く歩いてる。何かを探しているのだろうか。とりあえず接触はしない。観察する。人間2人と、耳としっぽがある。しっぽは狐かな?に近い形だ。毛並みは黄色と若干茶色い白だね。人の方は肩幅ちょっと大きめの鍛えあげられた体つきの男の人だ。顔はここからだと30代ぐらいの人に見える。なんか左目が常に閉じている。もう1人は肩幅はそこまでないがしっかりと鍛えられた体だと思う。あとは普通だ。だけど彼だけ弓と短剣装備だ。残り2人は普通の剣だ。ただ、獣人の方は青銅の色に似ている気がする。あと、なんか剣にいくつか文字が掘ってある。で、人の肩幅の大きい方の剣は同じ色だが剣の塚からちょっと下側にガラスのようなものが埋まっている。魔石とかそんなのなのかな?


で、何か3人で獲物を見つけたようだ。何かを」話し合ってるように見える。お、弓の獣人が弓矢を抜いて狙撃体制に入った。そして放った。ここからは木があって見えないが何かに刺さった音がした。それと同時に剣持ち2人が走って突っ込んで行った。遅れて弓の人も短剣を抜いて後を追って行った。


とりあえず話せそうな相手がいたのがわかったのであの3人に見つからないように3人の足跡を逆に辿っていく。近場を通りながら、自分の足跡をなるべくつけないように。


20分ほど早歩きしたっだろうか。

「ごめんなさ…」

またフラッシュバックしてきた。頭を抱えてしゃがみこむ。本当に自分は大丈夫なのだろうか。しゃがみながら自分の忘れたい過去や失敗してやらかした過去と戦う。実に1分の短い戦いだった。自分の過去と向き合うと決めたのはいつだったのか。前世の時にそう決めて結局逃げた。それが今になって自分への重しになっているんだ。仕方がない。受け入れるしかない。自分がやらかした過去だ。


こんな感じで自分と戦いながら足跡を逆に辿ってさらに10分ぐらいだろうか、森が少しづつ開け始め奥に何か人工物っぽいのが見える。村…ではなく柵と畑っぽい。奥には果物や実がなった木が見える。すごいね。多分防衛のこと考えて地面に植えたりするものを手前に、育ちが遅くて防衛の時視界を妨げる木を奥にって感じかな。柵もしっかりと作り込まれているし、畑で作業している人も何人かいる。あと、革装備で青銅器だよねあれ、を身につけた人が柵の中を巡回している。

しばらく観察していたら畑に水を運ぶ人がおかしいのに気がついた。周りに水が浮いているのだ。というより突然現れて、浮いてるのを雨のように周りに撒き散らしている。あの女の人すごいな。というより魔法あるのね。


魔法があるのはわかった。だけどとりあえずは、この村ではなくもっと大きい街に移動しようと思っている。理由としては、情報が少ないかもしれないのと辺境の村ということもあってなんかあったときに村自身に防衛できるだけの備えがあるかが分からないからだ。接触してもいいが村だぞ、村。死んでも生き返れるからいいが、荷物は現状自身の命よりも重い。確かに村に入って馬車とかそういうてもあるが、身分の証明はどうしたらいいのかが分からない。最悪牢屋だ。それは街行っても変わらんか。ただ、この村には何かあったときに対処できるだけの防衛戦力や蓄えがあるかわからい。

ということで村の周りを少し回ってると道らしきものを見つける。若干目を凝らすと奥には馬車が走っている。こっち側に向かってきているな。自分は村の人たちに見つからないように木や草の中に隠れて移動する。くれぐれも道を見失なわないようにする。ただ、気になったこともある。あの馬車は大した護衛もつけていない乗っていたのは三人だ。馬車を引くおじさん。売り子であろう女の子。なぜだ、ここは強いモンスターが出ないのか?それともあの護衛が強いのか?わからない。接触すべきだったかもしれないが、ここで接触した人たちに村に無理やり押し込まれる可能性もなくはない。そのため接触は避けた。


そんなこんなで現在人に見つからないようにどんどん道の近くを進んでいる。このまま安全に大きい街までたどり着けるだろうか…



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