6章/凶星ペレグリヌス
6章第1話
登場人物紹介
ダンテ:この物語の語り手。自分が何者であるのかを知らず、また誰も彼の正体を知らない。接触した対象に憑依する能力を持つ。
リオン:少女の肉体と精神性を持った魔王ダンタリオンの分霊。イタクァを使い魔として従えている。
イタクァ:クトゥルー神話体系において「古きものども」と呼ばれる存在のひとり。若い女性の肉体を持ち、背が高く
それから小一時間ほどして。おれたちは札幌市内にあるとあるオートキャンプ場に辿り着いていた。運転席はおれ、助手席にリオン、イタクァは後部座席。ちなみにオートキャンプというのは、簡単にいえば自動車で乗り入れることを前提としたキャンプ場のことである。
「……ここ、ほんとに札幌市内なのか?」
おれはリオンが操作入力したカーナビに従って運転してきただけだからここがどこなのかあまりよく分かっていないのだが、オートキャンプ場の周囲はほとんど大自然のど真ん中だった。オートキャンプ場などというが、車数台分のカーサイトと、温泉の名が書かれた建物があるだけだ。
「札幌市は広いからな。ま、ここはその中でもとりわけ奥地にあたる、秘境のようなスポットだが」
「うう……車に酔ったウサ……なんでこんな狭いもので移動するウサ? 空飛んでった方が早いウサ……」
年がら年じゅう空を飛んで生活をするわけにいくか。お前と一緒にするな。
「ここは食堂で出してるインドカレーが名物なんだが、余は先にチェックインだけ済ませて温泉に入ってくる。お前らは好きにしろ」
「御主人様、お背中お流ししますウサ」
「おれも入るかな」
秘湯めいた雰囲気ではあるが、温泉は立派な内装の内湯が二つに露天風呂が三つもあった。おれたち以外の客の姿はちらほらと見えるだけだが。
温泉から出て、休憩所にテレビがあったので女子二人を待ちがてらその前でゴロ寝していたら、ニュースをやっていた。民放の、軽いノリのやつ。
「小惑星ペレグリヌスの太陽蝕、いよいよ明日に迫ってまいりました! もちろん北海道からでも観測できるのですが、観測する際のコツを専門家の先生に聞いてみたいと思います! では先生、よろしくお願いします!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます