MMOとリアル(続)

Syu.n.

プロローグ なんだ、この状況?

「・・・なぜだ・・・どうしてこうなった・・・?」


CFOプレイヤーの一人、ギルド「ともしび亭」ギルドマスターを務めている「魚の人」は、自分の目の前で展開されている情景にそう呟かずにはいられなかった。



そこでは、数人のプレイヤーが談笑していた。

まず、「ともしび亭」のメンバーである「Kless」氏、「テル」、「唯」さんそして「ミア」さん。

うん、これはわかる。自分のギルドのメンバーでも、よくINしてくれているアクティブメンバーだ。揃うのも珍しくはない。


続いて、「ライアス」と「Nao」さん。・・・うん、まぁこの二人も一応、俺、「魚の人」のフレンドだからね。いてもおかしい事では、うん??


そして、極めつけは「ボルケーノ」のギルメン、「GANTZ」氏、「ギル」、「たかみ」さん、そして「エル様」。

うん、君ら、(かろうじてエル様はギルマス会議で会ってはいるものの、)「魚の人」との面識はなかったよね?



なんで、俺(魚の人)のマイルームに、たむろしてるんだよ!!?



・・・いやね。確かに承諾はしましたよ?

俺が「さ~って、今日は何するかな?」とCFOにログインした瞬間、待ち構えてたかのように(おそらく実際そうだろう)、「フレンド登録していないよく知っている知り合い」からフレンド申請の通知のラッシュ。

・・・これは受けるしかないっしょ?しぶしぶ一つ一つ、承諾をクリックした後、いや、している途中から、


<「ライアス」さんが「魚の人」さんのマイルームを訪問しました。>


はい??


を皮切りに、マイルーム訪問通知が来るわ来るわ、あ、たかみさん、フレ承諾と同時に入った。


何が何だかわからないが、フレ申請と訪問通知がおさまったので、自分もマイルームにいってみたところ、


「なんぞこれ・・・?」


最強と称されるギルド「ボルケーノ」の常連、つまりは現CFO内でもトップクラスと言われてもおかしくないメンツと、中堅ギルド「ともしび亭」の常連、つまりはまだ初心者~中級入りたてのメンツが、3つの固まりに分かれて、楽しそうに語り合っているのである。


まず一つ目のグループが、「GANTZ」氏と「たかみ」さん、そして「Kless」氏・・・これは真面目なCFO談義だろうな。KlessがGANTZに色々聞いてるところに、たかみさんが入ったって所だろう。


二つ目のグループが、「ギル」、「エル様」、「テル」、「唯」さん・・・これは、多分だが、ギルが唯さんにちょっかい出してるのをテルがからかって、エル様がなだめ・・・いや、一緒にからかってるな。やれやれ・・・


そして三つ目のグループが、残った「ライアス」、「Nao」さん、そして「ミア」さん。

ぁ~、このメンツは「ボルケーノ」の過去バナ・・・と思いたいし、実際一部そうだろうが、わざわざここにいるって事は、大方、多分・・・


俺はこの3人を「よし、見なかった事にしよう」と自分に言い聞かせ、回れ右して退出しようとしたのをまるで見計らったかのように、


「お~い、魚のヒロ~~、みんなの紹介を改めて頼む~」


「「魚の人」と「Hiro」くっつけんな!! いくわ!!!」


「wwwww」


ここにいる全員に聞こえる「ライアス」のチャットに、リアルの俺は知らず頬を緩ませながら、みんなの所に向かっていく。



― それでも、「魚の人のマイルーム」家主のはずの「魚の人」は、こうつぶやかずにはいられなかった・・・ ―




MMOとリアル(続)



プロローグ



「・・・なんだ、この状況?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る