神様のせいで不運を被った少女は異世界で幸せになります!

海野すじこ

第1話 見放された子


私、井上綾はとにかく運命に見放されていた。


私には双子の妹の真紀という妹がいる。


真紀は同じ双子なのに美しく、賢く、運動神経も良くてとても優秀だった。


そして真紀は誰からも愛されていた。


両親はそんな真紀ばかりを可愛がり、私には見向きもしなかった。


同じ双子なのに、どうして私には何もないんだろう...。


せめて、何か一つでも優れた所があれば両親は私も愛してくれたのだろうか?


そんな私にも味方がいた。

すぐ隣に住んでいる幼馴染みの相模彰である。


彰は同じ年で、昔からひとりぼっちの私を気にかけてくれた唯一の味方である。


成績も見た目も普通の私は、両親に毎回真紀と比べられ「貴女はどうしてそれくらいできないの?」

「見た目も冴えない、成績も悪い...貴女は一体誰に似たのかしら?真紀を見習いなさい。」が両親の口癖だった。


私は、いつしか家での居場所がなくなり、家に帰るのが嫌で毎日遅くまで公園で一人時間を潰していた。


そんな私を見かけ、話かけて来てくれたのが彰だった。


彰は私の話を真剣に聞いてくれた。

そして私の為に泣き、私の為に怒ってくれた。


私はそんな彰の優しさがとても嬉しかった。

生まれて初めて自分を否定せず理解してくれたから。


生まれて初めて居場所ができた気がしたのだ。


私はその時初めて泣いた。


誰かに理解してもらえることが、これほど嬉しくて暖かい気持ちになれることを知ったからだ。


彰はその日、私が泣き止むまでずっと側にいてくれた。


手を繋いで一人じゃないから。

絶対ひとりぼっちにはしないと誓ってくれた


それから彰は、いつも私の側にいてくれた。


つらい時は側でずっと頭を撫でてくれて、私の悔しさ悲しさに一緒に涙してくれた。


そんな彰だからこそ、私は心を許すことができた。

彰の前でだけは私も笑えた。


彰のおかげで、私は悲しい以外の感情を取り戻すことができたから...彰にはとても感謝している。


彼の前でだけは、本当の自分でいられたのだ。



あの時、あの会話を聞かなければ...。

きっと...ずっといい関係でいられたのかもしれない。


ずっと側にいられたのかもしれない。


でも私には堪えられなかったんだ。

自分の居場所がなくなることが怖かった。


いつまでも側にいられるとは思わなかったけど...

それでも良い友達ではいたかったから。


だから...彰が見つめる先にいたのが、真紀じゃなければ...私はきっと心から祝えただろう。


始めから私に居場所なんてなかったんだ。


私がいるから...彰は、真紀の側に行けないのかもしれない。


私という存在は、結局みんなには邪魔な存在でしかないのだ。


彰に嫌われるくらいなら...

彰に邪魔だと思われるくらいなら私がいなくなろう。


私に色々な感情をくれた彰の為に。


例え居場所がなくなったとしても、彰の為ならもう全部どうでもいいや...。


もう側にいられないけど...幸せになってね。


さよなら彰...。


彰がいてくれたから...私は幸せでした。

だから彰の為なら怖くない。


この世に彰以外の未練なんてないのだから。





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