第四百十四話 司令官が口を割る時

「まさかその様な事が起こっていたとは……

私達もその場に居るべきでしたか」

「いえ、子供達があの場に居たら私は子供達に憑依してしまったかも知れません。

ですから私は貴方達、そしてこの青という少女の判断に感謝しています」


兵士がふと呟くと青の口からこの様な言葉が発せられる。

だがその言葉の中身は明らかに青の物とは異なっていた。


「青?いえ、あなたは青ではないわね。

青が言っていたルルという存在なのかしら?」

「ええ、それにすぐにお気付きになるとは、

どうやら先程あなたがおっしゃっていた、

心を読む能力というのは本当のようですね」


エリーが今の一連の流れを察知すると、

青の口から出てきた言葉はルルのものである事を言う。


「あら、私の能力についてのやり取りをするという事は、

先程のワタシたちのやり取りを聞いていたのね」

「となると、君は青とどうかしている時も、

その話を聞き、思考する事は出来るって訳か。

そしてこれは推測だけど、青が同意した場合は、

表に出てくる事が出来る」


エリーと神楽がこう告げるとルルは


「その通りです、今はあの青という少女が内側に入ってくれています。

と言っても私と同様、皆さんのお話は聞こえていますから。

くれぐれも悪口を言うということのないようにお願いしますね」


とやや皮肉った様な口調で話す。

しかし、青の悪口を言う存在など居るのだろうか?

一同はどう疑問を抱きそうだったが、

ルルの視線が司令官に向けられているのを見て察する。


「な、何故私を見ながらそういうのです?」


ルルの視線に気付いたのか、又その言葉が引っかかったのか、

司令官はルルに対して問いかける。


「いえ、あなたが極秘任務として子供達の救出を命じていたのは、

既に私も知っています。

しかし、もし仮に私の存在までは知らなかったとしても、

どうして子供達があの場所に居ると予測できたのですか?」

「それにルルが居た場所は、

この施設に記録されていたデータには記載されていません。

仮にデータ入手時にはまだ知られていなかったとしても、

どうして今は知っているのですか?」


ルルの言葉に続けて再び表に出てきた青の言葉を受けて、

司令官に向けられる目は一斉に疑惑に満ちたものになる。


「わ、分かりました……お話します」


司令官は観念したのか、こう口に出す。


「実は……私の元にどこかから情報が入ってきたのです。

その差出人は不明ですが、この施設の部屋と

子供達が連れてこられているという情報が」


司令官は口を割り、情報源を話す。

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