第三百九十九話 通路の先に行く時

「そう言われれば一部の兵士がここから離れていますね。

確か施設内の他のエリアを開放、調査すると言っていましたが……」


明帝の発言に対して兵士はこう答える。

その様子からどうやらその命令については承知していないようだ。


「その面々が戻ってくるまでが作戦という訳ですね。

しかしそう考えると結構遅い、となると我々も施設内の調査を行った方が

良いのでしょうか?」

「いえ、皆さんは引き続きここを警護して下さい、

内部の調査は我々が行います」


兵士が問いかけると明帝はこう返答し、

兵士には引き続き出入り口の警護を行う様に告げる。


「さて、皆には申し訳ないけどもう一仕事あるよ」

「まあ、そうなるわよね。私は別に構わないけど」

「俺も当然了承だ」

「俺達も行きますよ、セリアンもそうだろ?」

「ええ、ここまで来て私達だけ引き下がる気は無いわ」


他の面々もこう返答し、一同は施設の中へと戻っていく。


「さて、さっき青が向かっていたのはこっちだね。

ここは果たしてどこに繋がっているのか……」

「警戒はしておいた方が良いでしょうね。

しかし、単なる通路でしか無いようにも見えますが」

「それは司令室の中からチェックしても分かっていることだけど、

この先には何が有るのか……警戒は怠らないようにして」


通路を通り過ぎていく中で明帝が呼びかけると

一同は頷き、先に向かっていく。


「皆さん、この先は突き当りになっていますよ!!

事前に渡されたデータにはない部分ですね」

「ああ、それがピープルの改築に拠るものなのか、

それとも元々存在している場所を敢えて作っているのか。

どっちにしても不信感を持たずには居られないな」


セリアンとスロープがそう告げると一同は視線を目の前に向ける。

そこは確かに突き当たりになっているものの、それが逆に

不信感を抱かせていた。


「ここが突き当たりになるな」


クウォスがそう告げると同時に一同は突き当りに到着し、

同時に周辺を見渡して何か無いか確認する。


「さて、周囲を確認すると……やっぱり、あったよ!!」


その言葉通り、周囲を確認していた明帝は通路の一部を指差す。

するとそこは光が激しく輝いて見にくくなっているものの、

隠し通路らしき扉が確認できた。


「扉が開けっ放しになっている、だけどここを隠したい存在が

そんな事をするはずが無いから……」

「青はあの奥に向かって行った、そうとしか考えられないね。

果たしてあの奥に何が有るのか……」

「青の事も心配だよ、早く向かった方が良いわ」


それを確認した一同は扉の奥に向かっていく。

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