第三百九十四話 青に通信を送る時

「あれは……司令官の部隊の兵士ですよね。

しかし集団で行動していた筈なのに何故少数で?」

「何か別の極秘任務を受けていたのかも知れないね。

いずれにしてもその動向を……」


映像を見たセリアンが映っている兵士の行動に疑問を呈すると、

明帝は一つの仮説を直ちに作り出す。

だがその直後に兵士達を追う青の姿も映し出される。


「あれは……青ね。兵士達を追っているの?」

「そうかも知れないが、だったら青に通信を送れねえか?」


青の姿を見たパウがふと呟くとクウォスは青に通信を送る事を提案する。

それを聞いた明帝は


「そうだね、青に通信を送ってみよう」


と言って通信機を取り出し、直ちに青に通信を送る。

すると画面に映っていた青が通信機を取り出すのが見える。

どうやらその青は本物で間違いないようだ。


「はい、此方青です。

明帝様、どうかなさったのですか?」


明帝からの通信に青がこう応対すると明帝は


「ついさっき施設の司令室を制圧したんだけど、

司令室のモニターに少数で行動している司令官部隊の兵士と、

それを追跡している君の姿が映し出されたんだ。

一体何があったの?」


と早々に青に対して本題をぶつける。

すると青は


「実は入口付近で交戦し、せまってきた部隊を粗方退けたのですが、

その直後に兵士の一部がその場を離れていくのが見えたのです。

しかも他の兵士に対してそれを告げる事無く」


と返答する。


「なるほど、で君はそれを見かけて追跡したって訳か」

「はい、これは何かあるなと思いましたので。

司令官部隊の他の兵士には出入り口を警護してもらうように伝達しました」

「その伝達を兵士が素直に聞き入れたって事は、

他の兵士もその少数部隊の行動については聞かされていない可能性もあるな」

「そうね、もし聞かされていたのであれば

そんなすんなりと青の頼みを聞き入れるとは思えない。

気付かれたと思ってなんとか足を止めようとする筈」


青の口から一部の兵士が他の部隊から離れて独自行動をとっている事、

それ以外の兵士はその事について聞かされていない可能性が高い事を知る。

それを聞いた明帝は


「分かった、青、君はそのまま問題の兵士を追跡して。

僕達はこのまま司令室を調べてそれが終わり次第直ぐに他の兵士達の所に戻るから」


と青に伝え、それを聞いた青は


「了解、くれぐれもお気をつけて」


とその言葉を了承し、それを聞いた明帝は


「君の方もね、青」


と告げて通信を切る。

そしてそれが終わると直ちに室内の機器を操作し始める。

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