第三百九十三話 不可解な映像が流れる時

「ぐ、ぐおおおっ……」


里愛の攻撃はピープルの巨大獣人にも直撃し、その動きを鈍らせる。

そのまま後ずさりした所にセリアンが


「ファング・バースト!!」


と言って目の前に魔法陣を出現させ、それを巨大な牙に変化させて飛ばす。

そしてそのままピープルに接近させるとその牙はピープルに噛み付く。


「つっ、そのまま噛み砕くつもりか、だがその程度ではやられんぞ」


獣人はそう告げると爪を構えて魔法の牙を受け止めようとする。

そしてその爪に押さえられ、魔法の牙とのせめぎあいになる。


「つっ、確かに私単体では砕けないかもしれませんね。

ですが、コレは私だけの攻撃、戦いではありません!!」

「ふん、何を言って……」


セリアンの発言に対してピープルは余裕な発言をする、だがその直後に

その後ろからパウが


「ライトニング・バースト!!」


と言って強烈な雷撃を放ち、ピープルの巨大獣人に直撃させる。

そして直撃を受けた獣人は前身が黒焦げとなり、その場に倒れ込む。


「やった、仕留めましたね」

「ああ、だけどこの獣人はまだやられている訳では無いわ。

意識を取り戻す前にこいつの身柄を拘束するの」

「え?仕留めきっていないんですか?」


獣人が倒れ込んだのを見てセリアンは素直に喜ぶが

パウはまだ獣人は仕留めきっていないと告げる。

その発言に対してパウは当然の疑問を投げかける。


「私もそうした方が良いのかどうか迷ったのだけど、

恐らく明帝はこうしてほしいと考えているんでしょう」


パウはセリアンへの疑問に対して返答しつつ、その言葉を明帝にも向ける。

その言葉を受けた明帝は一瞬笑顔を見せる。

その笑顔が全てを物語っている様にも見えたが、その口も直ぐに後を追って

動き始める。


「そうだよパウ、可能であればその獣人は拘束してデータを収集したい。

今まで交戦したことが無い相手だからね」


明帝がそう告げると里愛はピープルに駆け寄り


「なら僕が連行します。

皆さんはこのまま作戦を続行して下さい」


と言い、手元から機械を取り出してそれを起動させ、

転移通路を出現させて獣人を連行していく。


「さて、この部屋に居る獣人もクウォスとスロープがあらかた蹴散らしてくれたし、

僕達も作戦の仕上げに……ちょっと待って!!」


明帝はそう告げると作戦の仕上げに取り掛かろうとするがその直後にふと目に入った部屋のモニターに注目する。

するとそこには入ってきた際に交戦していた兵士達の姿が映っていたが、

その様子は何処か不可解である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る