第三百八十五話 作戦を開始する時

「どうやら準備が整ったようだね、

此方も必要なデータは揃ったし、指定された場所に向かおうか」


明帝がそう告げると同時に一同は立ち上がるが、

その時に青が立ち上がるのが若干遅かった。


「ほら、みんなも行こう。

流石に遅刻は許されないからね」


明帝が言葉を重ねてこう告げると一同は指定された場所に向かっていく。

そしてそこに付くと司令官が


「みなさんも到着された所で作戦の詳細を説明しましょう。

今回の作戦はまず此方側が施設に部隊を向かわせ、

同時に反対側からセリアン、スロープが属している長老の部隊が

攻撃を仕掛けます」


と説明を始める。

その説明を聞いた兵士が


「では協力者の皆さんはどの様に動かれるのですか?」


と司令官に質問を行う。

それに対して司令官は


「彼らには転移通路を用いて施設に対して直接攻撃を担当していただきます。

無論攻撃を完全に任せるわけでなく、此方からも兵士を派兵いたしますが」


と返答する。

その説明自体は明確であり、筋が通っているように聞こえる。

だがその発言を聞いた明帝は


「自分達の側からも兵士を送る?

僕達の戦力を信用はしているようだけど、それだけでは不安なのか?

いや、この場合それよりも……」


と司令官に対して何か思うところがある様だ。


「では、作戦を開始する!!」


司令官がコレまでにない強い口調で発言すると兵士は


「了解!!」


と一斉に敬礼を行う。

その直後に兵士達は移動していき、施設に向かっていく。

それと時を同じくして通信が入ってくる。


「この通信は……」


スロープがそう呟いてなっている通信機を取るとそこから


「此方の部隊も動かし始めたぞ。

さあ、そちらの動きはどうなっている?」


という長老の声が聞こえてくる。


「今動き始めましたよ、ペースが乱れなければ後数分で敵と遭遇すると思います」

「そうか、となると此方はそれより少し遅くなるな。

距離から考えるとそちらの方が近い以上は」


その直後に長老が続けた言葉は司令官を何処か牽制しているような

何処かに棘を隠している印象であった。


「そうなりますね……おっと、部隊から通信です」


司令官がそう告げた直後、別の通信機が成り始める。

近くに立っていたパウがそれを手に取ると


「此方前線部隊、施設からの迎撃部隊と思われる

ピープルの部隊と交戦を開始しました」


という兵士の声が聞こえてくる。


「場所はどのあたりになる?」


パウがそう尋ねると兵士は


「施設へと続く道の谷間の部分になります」


と返答する。

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