第三百七十話 同時に作戦を開始する時

「それに対する返答は考えるまでもない話です」


長老が改めて問いかけてくると高御はこう明確に返答する。


「即答ですね、と言う事は……」

「ええ、作戦の申し出を受けます」


即答に困惑した表情を浮かべる長老だが、高御の表情も又

曇りのない真剣なものであった。


「って事はつまり、俺達と共に……」


スロープがそういいかけたその直後、

ESBの基地内に警報が鳴り始める。


「警報が鳴り始めた……何が起こったの?」


明帝はそう口に出すと直様手元に端末を構え、

警報が鳴り始めた理由を調べ始める。

そして直様


「これは……日本の愛知県近くに転移通路の反応を確認、

このパターンはピープルのものです!!」


と告げる。


「つまり、ピープルが次の行動を起こしてきたって事?」

「或いは単に通路を開くのに失敗しただけか、

どちらにしても放置する訳には行かないわね」

「でしたら皆さんはそちらの対応に回って頂き、

此方の作戦はセリアンとスロープの二人さえ……」

「高御……分かっていると思うけど」

「うん、分かっているよ」


警報がなった事とそれについての反応をそれぞれ見せる中、

ミスティと高御はこう告げてお互いに頷きあう。


その様子は目を寄せ、全体的に小さめとなった

顔を見る限り、明らかに何かを決意した表情であった。


「一体何が分かっているんですか?」


その様子に疑問を抱いたのか、困惑した表情で

セリアンがミスティと高御に尋ねる。

それを聞いたミスティは


「決まっているでしょう。

部隊を二手に分けて双方に対処するの」


とセリアン、スロープ、長老に対して告げる。

それを聞いたセリアンは


「え!?それってつまり……」


と困惑した顔のまま更に問いかける。


「ええ、私達の世界でもセリアン達の世界でも

ピープルに対して攻勢に出るって事よ」

「ああ、2つの世界から同時に攻められては、

どちらへの対応も中途半端になるだろうからな」


ミスティと高御は言葉を合わせ、2つの世界から

同時にピープルに対して攻撃を行う事を告げる。


「確かにその通りではありますが、

そんな事が可能なのですか?」

「ええ、そちらに送る戦力は少し減少してしまいますが、

それでも構いませんか?」


長老からの問いかけに対しても高御は出来ると明言する。

その声も顔も一点の曇りも無く、それが実践出来ると

言う自信がある事を物語っていた。


それを見た長老は


「……分かりました!!どうかお願いします」


とその提案を受け、作戦を開始する事を告げる。


「では僕とミスティは此方側の指揮を取ります。

明帝とパウ、そしてクウォスはセリアン達の世界に!!」


その言葉を聞いた高御は早速指示を送る。

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