第三百四十一話 転移通路を抜ける時
「この転移通路は何処に繋がっているのですか?」
「先程見せてもらった周辺宙域の対象近くに移動する筈だよ、只今回は周辺の情報を得ている時間が無かったから最悪戦場の真っ只中なんて事もあり得るけど」
「それは幾らなんでも……」
「周辺の情報を得ている時間があったらそもそもこんな早急に移動なんてしていないよ、君達もそろそろ戦術だけじゃなく戦略も考えられる様になって……」
アデルの側近達が神楽に対して質問や呆れた表情を浮かべようとするが、アデルはそんな彼等を静止しつつ彼等に呆れた表情を向ける。
その表情からどうやら本気で何とかして欲しいと思っている様だ。
「アデル様……はい」
兵士達は一瞬何か言いたげな表情をみせるものの、直後にアデルが呆れた表情を見せた事でそれ以上何も言わずに納得した表情を見せる。
いや納得はしていないかも知れないがそれ以上何かを言うのは止めた様だ。
「この戦いが終わったらESBの皆さんからシュミレーションを借りて彼等にも学習機会を与えて貰おうかな……って、いつの間にかこうした後の事を考える余裕が出来てたんだね僕」
その様子を見てアデルは内心その後の事を考える余裕が自分に生まれていた事を自覚すると同時にそんな自分も悪くないと思っていた。
「さて、少しリラックスした所で悪いけどそろそろ作戦開始エリアに到着する頃だよ」
高御がそう告げると同時に戦艦は転移通路を抜け、その先へと辿り着く。
だがその直後に戦艦全体に振動が響き渡る。
「いきなりの振動!?今まで転移通路を抜けた時にこんな事は……」
「つまり転移通路が原因じゃないって事だよ、神楽さんの懸念が的中したんだ」
側近の兵士が振動に動揺する一方、アデルは冷静に状況を見る。
「直ちに周辺の確認を行います」
明帝はそう言うと戦艦のブリッジにある機器を操作し周辺の状況を確認する、そしてその確認した様子を前方の画面に映し出すとパウは
「周辺に熱源反応か……どうやら既に誰かと誰かが交戦している様ね」
と発言する。
それに続けて明帝は
「その誰かの正体は直ぐに分かるよ、最も一方は不明なままかも知れないけどね」
と告げ、その直後に熱源反応の幾つかが異星連合の機動兵器である事を表示する。
「異星連合か……私達が来るのを待ち構えていたと言う訳ではなさそうね」
「ああ、先程の攻撃も転移通路が出現したから取り上げず攻撃したと言った感じだったわ」
「だとすると異星連合と交戦している方の兵器の外見を表示して」
ミスティと七宝が攻撃に付いての感想を述べると神楽はもう一方の兵器の表示を要請する。
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