第三百二十一話 ライトの発明が動く時
「え?こいつを生け捕りにするんですか?」
余りに突然の発言だったのか、それまで熱り立っていたスロープも呆気に取られた表情になる。
「そう、こいつを生け捕りにして調べれば色々分かりそうだし」
ライトは変わらずあっけらかんとした口調でこう言葉を続ける。
それを聞いた七宝は
「ええ、私もライトの意見に賛成だわ。
こいつを調べていけば今後のピープルとの戦いに有意義な何かが得られるかも知れない」
と言葉を続けるものの、その表情は何時ものデータ収集を主眼とした今後を見据えた真剣な物ではなく、何処か別の感情が混じっているのが明らかに分かるものであった。
それを見たスロープは
「まあ、七宝さんがそう言うなら……それに異世界なら万が一があっても逃走は出来ないか」
と当初の熱り立っていた表情は何処へ行ったと言いたくなるような表情で返答する。
しかしその返答も何処か調子の出ない印象を受けるものであった。
「じゃ、早速身柄を拘束してと」
そう告げるとライトは着用している白衣の内側から紐の様な物を取り出す。
そして地面に投げるとその紐は自動的に動き出し床に倒れているピープルを縛り上げる。
「さて、こいつを僕達の世界に連れ帰らないと行けないから一旦ここで僕達の世界に戻してもらえないかな?」
「そうだな、こいつをほったらかしにしておいたら何かを隠し持ってるかも知れねえ」
引き続きライトがこう発言して一旦元の世界に戻りたい旨を告げるとセリアンは
「分かりました、この施設の機器は損傷していませんし、後は私達で後押しをしておきます」
と告げる。
それを聞くと同時にライトは
「ならこれが早いですね」
と言って懐から通信機らしき機器を取り出す、だがそれを見たパウは
「その通信機、私達が使っている物とは違うわね」
とライトに質問を投げかける。
それを聞いたライトは
「ええ、これは僕が最近テストしてる世界を跨いで通信出来る通信機ですよ。
まあ、まだ試作段階なので上手くいくという確証はありませんが」
と返答しそれに対して
「ああ、だから私達も今初めてみたのね」
とパウは納得した声を上げる。
それを見たライトは通信機の電源を入れ機器に話しかけ始める。
すると通信機の奥から
「通信機が繋がったって事はつまり、そちら側で上手く動いたんだね」
という声が聞こえてくる。
その声はセリアンとスロープには全く聞き覚えが無いものであった。
一方その声を聞いたクスナとアップルは
「その声、ラズベリーね}
と明らかに知っているという声であった。
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