第二百九十七話 標的を見つける時
「ちっ、確かに以前はお前達から逃げるしか無かったさ、だけど今はな!!」
スロープはこう叫ぶと両手に魔法陣を出現させ、そこから出た魔力を両手に纏わせる。
そしてそのまま異形に接近していき腹部に強烈なボディーブローを食らわせる。
「うぐっ!!」
それを受けた異形は腹部を抱えてその場に蹲る!!
「ちっ、子供だと思って配慮してりゃあ……」
他の異形はこう言うと妖術を唱える構えに入ろうとするがその直前にスロープが高速で移動し異形一体一体に強烈な腕部の一撃を叩き込んでいく。
そして瞬く間に異形を全て全滅させるがその光景を見たセリアンは
「スロープ……やっぱりこれって……」
「今はそれを話している時間はねえ、急がねえと」
と問いかけようとするがスロープはその問いかけには答えず先に進む事を促す。
だがその促し方は何処か話をそらしている様にも見える。
それを聞いたセリアンは
「……そうね、それが優先事項だものね」
とスロープの提案を受け入れ、そのまま先に進む事を決める。
そのまま二人が移動していくとその先には先程下ってきた場所とは別の小高い丘の様な場所があった。
「この上にいると思うか?」
「可能性としては一番高いと思うわ」
「今更他に行ってる時間もねえか、急ぐぞ」
こう会話するとセリアンとスロープは近くにあった斜面から丘を登っていく。
そして最上階らしき場所に着くとそこには
「おや、獣人如きが此処まで来るとはね」
と言う声と共に何者かがセリアンとスロープの方に視線を向ける。
それはこれまで遭遇してきた異形とは明らかに姿形が異なる存在であった。
二足で直立するその姿は今まで遭遇してきた四足歩行の異形とは明らかに異なっており、その身に纏う妖力も異なる様に見える、いや実際異なっているのだろう。
それに対してセリアンは
「これ以上あんた達の好きにはさせない!!」
と強い口調で話す。
普段の口調からは想像出来ないあんたという言葉からもその強さが伺える。
「ほう、ですがもう遅いですね。
我々に対抗するべく助っ人を呼んだ様ですが私の妖力は既に充填し終えています。
これを貴方達の村に放てばこの戦場も……」
目の前にいる異形はそう告げると両手を仰ぐ様に天に向け、そのまま巨大な紫色の球体を出現させる。
「!!させるか……」
「遅いと言ったでしょう!!」
スロープが異形に駆け寄ろうとするが異形の動作の方が早くその球体を投げつけようとする。
だがその次の瞬間黒い矢の様な物が現れ異形の右手を射抜く。
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