第二百九十八話 異形が消滅する時
そしてそのまま射抜かれた異形はその場に倒れ込み、バランスを崩した事で出現させていた球体も消滅する。
その一連の流れを見ていたセリアンとスロープが屋が飛んできた方向に目をやるとそこには手を翳した高御が宙に浮かんでいた。
「え……高御さん?」
目の前の光景に困惑しているのか、セリアンが思わず高御本人なのかどうかを確認する。
だがセリアンの困惑はただ単に目の前に居る事や宙に浮かんでいるというだけでは説明出来ない部分がある。
一方射抜かれた異形はその部分に手を添えながら立ち上がると
「つっ、……いきなり攻撃してくるとは何者だ!!」
「大切な物を目の前で破壊しようとするなんて悪趣味も甚だしいね」
異形が高御に対して攻撃的な視線と口調を向けると高御はこう強く発言する。
それに対して異形が更に
「貴様、何故獣人共に味方をする!!」
「彼等が僕達の協力者だから、そしてお前の様な奴が気に入らないから」
「そんな理由で獣人に助力するのか!!」
「ならあんたが今の攻撃で自軍の兵士もろとも吹き飛ばそうとした理由は何なのさ?」
「ふん、それが俺達の目的を果たす為の最短ルートだからだ」
「それは口実でしょう?本当は破壊を面白がっている、少なくとも部分的にはそうした要素がある」
「ふん、仕事と快楽を両立出来るのだから嬉しい話だろう」
と高御と会話を続けていく中、その異形は快楽の為に破壊しているという事を口走る。
それを聞いたセリアンとスロープは
「こいつ、私達の故郷をそんな事の為に破壊しようとしたっていうの!?」
と怒りと驚愕を顕にする。
「その通りだ、お前達の故郷など我々に壊される為に存在しているような物だ」
異形は尚もそう言うと再び妖力を集中しようとするがそれをやろうとした瞬間に異形の表情が苦しいものに変わる。
「何!?何故だ……何故力が収束出来ない!!」
「困惑している様ね……今なら!!」
そう叫ぶとセリアンは
「魔力集中……ライト・ブラスト!!」
と叫んで目の前に魔力を集中させ、そこからまばゆい光を放って異形に直撃させる。
「ぐうっ、馬鹿な……何故獣人の魔力如きに私が此処までのダメージを……
いや私が負けるというのだ!!」
そう叫ぶと異形はそのまま消滅していく。
「あの……高御さんはどうして此処に?」
「戦場の指揮官が何処に居るのか捜索していたら此処に辿り着いたんだよ。
しかもあんな目立つ攻撃をしようとしていたらね」
セリアンが高御に対してどうして此処にいるのかを聞くと高御はこう返答する。
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