第二百七十二話 異界の住人が話し合う時
「だけど……何だ?不安なのか?」
「ええ、色々とね……」
「そうか……まあ、俺もそうだからあまり人の事をどうこう言える立場じゃねえが……」
どうやらセリアンは内心に様々な不安を抱えている様だ、それを聞いたスロープは無理もないと言った印象でそっとセリアンの手を繋ぐ。
「え……あ……」
スロープの行動は予想外だったのか、少し戸惑った様子を見せるセリアンに対しスロープは
「俺達の世界は俺達が守る、そしてセリアンは俺が守る」
と告げる。
それに対しセリアンは
「なら私はスロープを守る」
とお互いに相手を守り合う事を告げる。
それを確認するとセリアンとスロープは近くにあった機器のスイッチを入れ、何かを調べ始める。
「この機器の扱いにも少し慣れてきたわね」
「ああ、最初は異世界の機器を使いこなせるのかどうか、それも不安だった」
「だけど少し動かして分かった、それは可能なんだって事」
「ああ、だがそれだと奇妙な部分がねえか?」
「やっぱり、スロープも気付いていたのね」
「俺だって脳筋って訳じゃねえ、この位は分かる」
「そうね、この位はね……」
機器を操作しながらセリアンとスロープは何かを話しているが、どうやら聞きを操作している間に何か気付いた事がある様だ。
それを確認するかの様な会話を交わした後、二人は更に機器を操作して何かを調べていく。
一方その頃アデル達も又今回の一件について話し合っていた。
「アデル様、あのエンブレムの兵器が動いてきたと言う事は……」
「ああ、高御さん達も言っていた様にマルティー本星の戦局が此方に不利に傾いている可能性は高い。
だが此処で焦って連絡通路を開き、マルティー本星の状況を確認しようとすれば神楽さんが言っていた様に向こうのメンバーを危機に陥れてしまう可能性もある」
「それはそうですが……」
「それに最悪、ピープルの世界と繋がって異形をこの世界に呼び寄せてしまうかも知れない、その可能性を考慮すると今僕達が下手な動きを見せるのは得策じゃない」
「そうですね、それではやはり高御さん達と連携し、此方に来た敵を迎撃していくというのが現状における最善の策でしょうか?」
「最善と言うより、それ以外に考えられる手立ては無いよ」
やはりマルティー本星が気になるのか、アデル達はしきりにこの話題を出す。
それに対して兵士は
「ピープルと言う存在についても気になりますね、何故異世界と我々の技術が結びついてしまったのか……」
と転移手段の疑問について口にする。
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