第二百六十八話 上層を捕らえる時
その直後、兵士が接近してきたのを確認したその兵器の搭乗者は
「ふん、相変わらず詰めが……」
と言いかけるがその直後にアデルは
「スタン・グレネード!!」
と言ってアンファートの右手甲からグレネードランチャーを放ち兵器に直撃させる。
その爆発は兵器を破壊こそしなかったものの、直後に操縦系統に支障が出たのか機体の動作がぎこちなくなる。
「どうせ接近した所で自爆するつもりだったんでしょう?そんな事位お見通しだよ!!」
その直後にアデルはこう切って捨てる様な印象の発言を行う
その発言に対し兵士は黙り込むとそのまま何も言わない。
どうやら図星の様だ。
「自爆って……」
「その話については帰還してから高御様達も交えてゆっくりとしましょう。
今は敵の新型を鹵獲出来た事を喜びましょう」
「そうですね……その方が良いのでしょうね」
この一連の流れを見ていた瑠璃花達もアデルの発言にただ呆然とするばかりであり、彼からこれまでにない何かを感じ取っている事が伺える。
「さて、これで星間連合の部隊は殲滅出来ましたね。
しかし今回の目的は一体……」
「エンブレム塗装の兵器を送り込んできた以上、愈本腰を入れてくるつもりなのかも知れません。
まあ、その点も踏まえてあの兵器、搭乗員を締め上げる必要がありますが」
地球側部隊の司令官がこう呟くとアデルは鹵獲した兵器の搭乗員から聞き出す事を提案する。
しかし、此処でも又物騒な言動が響いているが。
「アデルさん、事前に会った時、否高御様達から頂いた情報やデータを見ている時はあそこまで過激な発言をする様には思えなかったけど……」
「あの兵器に乗っている存在がアデルさんにとってそれ程気に入らない相手であると言う事なのでは無いのですか?」
「そうかも知れないわね、まあ、この件については本部に帰還した後で色々と説明がなされると思う。
まずは本部への帰還を最優先に考えましょう」
「あのワープゲートは放置しておいて良いのですか?」
その後暫く会話が行われた後、相がワープゲートに対して対処しなくて良いのかと言う趣旨の発言をする。
それに対して瑠璃花が
「その必要は無いみたいよ、ほら!!」
と言うとその言葉に従って一同は一斉にワープゲートに目をやる。
するとワープゲートはどんどん縮小していき、そのまま消滅する。
「ワープゲートが消滅した?」
「恐らくは戦力の全滅、つまり敗戦を察して先に通路を閉ざしたって所ね」
ワープゲートの縮小の仕方から恐らくは星間連合が自発的に消滅させたと推測する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます