第二百二話 非常事態が発生する時
「本部内の熱源反応を追跡……居たわ!!」
ミスティはそう言うと同時に前方にある画面に現在操作している機器に表示されている画像と同じ物を映し出す。
それを見たエリーが
「一寸、この移動ルートって……」
と言うと神楽も
「うん、このまま行くと不味い事になるかもしれない」
と言葉を続ける。
二人共見て分かるレベルの深刻な表情を浮かべており獣人が向かっている場所が望ましくない場所である事が伺える。
「獣人達は一体何処に向かっているんですか?」
神楽やエリーだけではない、その場にいる全員が深刻な表情を浮かべているのに気付いたアデルが問いかけると高御は
「君達に以前話したよね、僕達が持っている力とその出処」
と何かを試す様に問いかける。
それに対しアデルが
「ええ、確か不可思議な水晶から……まさか!?」
と発言するとミスティは
「ええ、そのまさかよ。
万が一の事態に備えて直様向かう必要があるわ」
と発言する。
「僕も同行します!!
あの獣人達は決して悪い存在では無いと思えるんです。
協力者である僕の言葉も獣人達を留めるのに活用出来るかもしれません」
アデルはそう申し出る。
「今回の任務の一件でも話した様に僕達はあくまで協力者だ。
だから君に来るなと命令を下す事は出来ない、だけど……」
「分かっています、自衛はやってみせます!!」
「でしたら我々も共に!!」
高御が不安げな言葉を出すとアデルは先程の任務の際と同様の強い口調でこう言い切り、周囲の兵士達もそれに同調する。
「急ぎましょう、獣人の現在位置から考えると最早猶予はないわ!!」
ミスティはそう告げると転移通路を開き一同は一気に移動する。
獣人の現在位置と謁見の間は決して離れている訳ではない、それにも関わらずミスティが転移通路を開いた事は事態の深刻さを表しているのだろう。
「はあ…はあ…どうだ、撒いたか?」
「ええ、そしてこの近くから強い力を感じる……」
脱走した獣人が息を切らしながら後ろを振り返るとそこには誰の姿も無く、彼等が意図を以て脱走した事は明らかであった。
更にその近く、いや右手の先には扉があり、そこを開けようとしているのは明らかである。
だがその扉が動く気配は無い。
「やはり鍵が掛けられている、しかもこれ、私達の知っている鍵ではないわ」
「どんな鍵だろうとぶち壊せばどうって事はねえ!!」
獣人はこう言葉を交わした後、一方が右腕に紫色を纏わせたかと思うとそのまま扉を殴って大穴を開ける。
そしてその穴を潜って部屋の中に入っていく。
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