第二百話 渦の意味を知る時

「神楽!!私にもお願い」

「よしきた、任せるよ」


七宝が叫ぶと神楽は能力で何かを創造して出現させる。

それは明らかに少女が持つには巨大な大砲だったが七宝は躊躇う事無くそれを受け取って構え、巨大異形に対して発射する。

するとその大砲からは大きさに似つかわしくない素早いレーザーが放たれ、異形の中心部分を撃ち抜く。

すると異形はその場に倒れ込む。

急所を撃ち抜く事が出来たのか再生する気配も見られない。


「やったの!?」

「ええ、異形は仕留めたわ、だけど……」


神楽が確認する様に告げると七宝は異形は確かに倒したと言う。

だがその表情は油断する事無くそのまま近くに出現した二人の獣人へと視線を向ける。


「貴方達は一体何者なの?」

「さっきの異形から攻撃を受けていたと言う事は異形と敵対している存在の可能性もあると思いますが……」


神楽とアデルが獣人へと視線を向け、問いかけを行うと獣人は


「お、俺達は……」

「私達は……」


と二体の獣人は声を出しかけるがその直後に気を失ってその場に倒れ込んでしまう。


「倒れ込んでしまいましたね……」

「いえ、それだけじゃないわ。

この二人、全身を負傷してる、このままだと下手をすれば命の危険もあるかも知れない」


倒れ込んでしまう光景を見たアデルはふと呟くが七宝は明らかに危機感を持って二人に呼びかける。

それを聞いた神楽は直ぐに転移通路を開き、七宝と共に獣人を背負ってアデル共々転移通路に飛び込んで帰還する。

そして獣人を医務室に運び込むと事情を略式に説明しその体を任せる。

すると医務室に駐在している医務員は任せて欲しいと言わんばかりの表情で納得する。

そしてそのまま三人は謁見の間へと向かって行く。


「皆、帰還してくれたけどその表情は安堵出来ないと言った雰囲気だね」

「ええ、ですが異形について進展が見られる可能性があります」


高御は戻ってきた神楽達に対して七宝の労いの言葉をかけようと思っていた様だがその表情を見てそうした状況でない事を察知する。

だが異形について進展が見られたという事から暗さや険しさは少し除かれていく。


「異形と言う事はやはりあのエネルギーは異形が生み出していた物なのね?」

「ええ、恐らくは異形が元々使用している転移通路でしょう」

「それが此方の世界に出現したと言う事はつまり、異形が此方の世界への侵攻を開始するという事か?」

「まだそこまでは断定できません、そもそも何故今回転移通路を開いたのか、その点が全く以て不明瞭です」


それぞれの問いかけに対し七宝は的確に返答していく。

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