第百九十八話 神楽の真価が発揮される時
「神楽は無事かも知れないけどアデル君は……」
神楽の発言を聞いた七宝は一瞬動じた表情を浮かべてアデルの方を見つめるが、その視線の先に居るアデルは明らかに強い決意を固めた表情を浮かべていた。
それを確認したのか
「……分かったわ、異形は任せる、解析は私が責任を持って行うから!!」
と前言に含まれている不安を撤回し神楽はエネルギーの渦を見つめ始める。
するとそれを異様だと思ったのか異形が飛びかかって来る。
それを見た神楽は
「真紅の爆炎よ、弾けろ!!」
と言うと同時に異形の目の前に火球を出現させそれを爆発させて異形を巻き込む。
「?今のは一体?」
「想像の能力で火球を作り出しただけよ、そしてそれを爆発させたんだ」
一連の流れが理解出来なかったのか、アデルが神楽に質問を行うと神楽は明快にこう答える。
「神楽さんの能力は兵器や機器だけではなくこうした形でも使用出来るのですね」
「ええ、そしてこの異形との戦いで幾つか見せる事が出来ると思う」
「二人共、次が来るわ!!」
神楽の説明に感心したのか、アデルの顔が少し緩むがその直後に七宝が叫ぶと同時に次の異形が出現する。
「粉砕の氷塊!!」
続いて神楽はそう叫ぶと自身の目の前に氷塊を出現させ、それを異形目掛けて飛ばしてぶつける。
異形に直撃した氷塊は即座に砕け散ってその場に異形を倒れ込ませる。
その倒れ込んだ異形の近くには先程爆発に巻き込んで倒した異形もおり、動く気配は見られない。
「まだ来るわ!!しかも今度は数が多い」
七宝がそう告げると同時にエネルギーの渦の中から異形が三度出現する。
更に今回は数体が一気に出現し、一斉に飛びかかってくる。
「つっ、今回は一気に来ましたね……」
「私の力なら問題ないよ、真空爆破!!」
数に警戒心を持たずには居られなかったのかアデルは身構えて警戒するが神楽はそうした心配は要らないと言わんばかりに自信のある表情を見せ、それと同時に飛びかかってくる異形の目の前で大爆発を起こす。
その爆発に巻き込まれた異形は次々と吹き飛ばされていく。
「あれだけの数を一気に……凄い……」
目の前で起こって居る事が理解の範疇を超えているのか、アデルは感心か、あるいは驚嘆と言える表情を見せる。
だがその直後に七宝が
「まだ来る、しかも今度はこれまでより大きな反応よ!!」
と尚も異形が出現する事を告げ、実際その直後に異形が更に出現する。
その外見も七宝が告げていた様にこれまでの異形と比べ明らかに大型かつ好戦的な印象を受ける。
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