第百八十八話 星間連合が気付き始める時
「しかしアデル様、今の疑問点を放置していては……」
「やれやれ……要するにワープゲートの行き先が常に此方側の迎撃体制が整っている場所であると言う事を不審に思ってきてるんじゃないかと言う事だよ」
尚も疑問を投げかけてくる兵士に対しアデルは少々呆れた顔を見せつつも自身の考えを告げる。
その考えに対するESBの面々の表情が納得したものであった事からアデルの立てた仮説はESBの面々が考えている仮説と同じ物である様だ。
「毎回毎回移動先に敵が待ち構えている……いや、そもそも当初想定していた場所と違う場所に出る、そうなれば星間連合としてもその原因を考えざるを得ない。
だからこそそれを調べる為、或いは備える為に此方のデータに無い新型を送り込んできた、そう考えれば合点がいくよ」
「それにあの新型、少なくとも外見を見る限りでは調査用ではなく明らかに戦闘用、単なる調査に用いるには些か大袈裟過ぎる代物だわ」
アデルが更に考えを述べるとそれに対して七宝も言葉を続け、出現した新型が明らかに戦闘用であるという事実も告げられる。
「となると、奴等も只黙ってやられていると言うつもりは無いでしょうから次辺り総力を上げてくるかもしれませんね」
「或いは暫く様子見をしてくるか……その方が地球側としてはありがたい話だけどその分マルティー本星の方が心配になる」
神楽と高御が告げた発言にアデルを始めとするマルティー人の表情が険しくなる。
一方それと同じ頃、件のマルティー本星らしき場所において
「ええい!!またしても調査に失敗したか」
「それだけではありません、ゲートを航行していた部隊もその半数以上が撃墜され消息不明となっています」
「ゲート内まで攻撃してくるとは……更にはゲートそのものにも直接干渉してきた」
「その上で又当初の予定と異なる場所にゲートが開きました、これは最早ゲートの出現先を、少なくともある程度奴等にコントロールされていると考えてまず間違いないでしょう」
この様な会話がかわされており、今回の一件を星間連合としても重く受け止めている事が伺える。
「新型まで投入してこの体たらくとは!!益々地球という場所を手中に収めたくなってきたわ」
「ですがこのまま何度地球に侵攻を試みたとしても現時点では此方の戦力を減らすだけでしょう、それに対する対処として策を討つ必要があります」
「ほう、そう告げると言う事は何かあるのか?」
「ええ、利用出来る者を利用すればよいのです」
更にこの様な会話がかわされる。
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