第百七十七話 四人が質問する時

「僕達の様子を見に来てくれるとは本当に嬉しいですね」

「ええ、もうすぐ私達も戦場に出る事が出来ますから」


駆け寄り名前を呼ばれた四人の内クリンと呼ばれた男子とテテルと呼ばれた女子は嬉しそうな声を上げるが、その声を聞いた高御は何処か複雑な表情を浮かべる。

それを察知したのかグレープと呼ばれた男子は


「ねえ、高御様が困惑してるみたいだよ……」


と少し控えめな声で話しかける。

その言葉にふと気付いたのかクリンとテテルは近付いていた高御から少し離れて一礼する。

その一例は申し訳ないという意思表示なのか、それとも違っているのか……


「俺達の様子を見に来てくれたって事はそろそろ出番が近いって事なのか?」


レモンと呼ばれた男子が高御に問いかけるとクリンが


「一寸レモン、その言葉遣いは不味いと思うよ」


と苦言を呈する。

それを聞いた高御は


「まあ、僕は構わないけど、もし他の組織の上層部が居たら不味かったかもね」


と笑って話すもののその目はクリンの言葉を肯定しているのか若干釣り上がっていた。と言っても明らかに起こっていると言う風ではないが。

それを見て自覚したのかレモンは


「そうだな……つい油断してしまったようだ」


クリンへの返答のつもりなのかレモンは謝意を述べるものの口調はあまり変化していない印象だ。

最も表情から不満を持っているわけではないようだが。


こう話すと同時にグレープが


「それで、僕達が直ぐに出撃する必要があるのですか?」


と問いかけると高御は


「いや、まだ出撃してもらうという訳じゃないよ。

只既に話が伝わっているかも知れないけど先日拘束した異形と同種が又出現したという話を伝えたかったんだ」


と話す。

それを聞いたレモンが


「つまり、その異形が今後の驚異になる事を正式に認定したと?」


と問いかけると高御は


「その通りだよ。だから次に出現した時はそのワープゲート内も含めて可能な限り調査したいと思ってる。

その際は君達にもサポートをお願いするかも知れない、その点を承知しておいてくれるかな」


と話しそれを聞いたクリンが


「ええ、勿論ですよ!!」


と話したのを皮切りに四人とも首を縦に振って頷く。


「それよりも先に機体の方が先になるかも知れないけど何方もこなせるようにしておいて欲しい」


高御が重ねてこう話すとグレープは


「僕達に出来る事があるのなら……」


と控えめな口調で返答する。


「と言う事は次の動きの予兆があるのですか?」


クリンが気になったのか高御にふと質問する。

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