第百三十七話 エネルギーが出現する時
「つまり、脱出艇自体が移動するワープゲートと言う訳だね。
だとすると放置しておいたら厄介な事になるのは確実か……或いはもう既になっているのかも知れない」
明帝がこう発言するとアデルは
「ええ、光学迷彩で姿を隠している以上何処に軍隊を送り込むかを任意で決められると言う事ですから。
実際マルティー本星に置いても何度もその手口を使われました」
と発言する。
その表情は発言自体はあっさりとした端的な物だが、明らかに悔しさが滲み出ていた。
「つまり、光学迷彩を用いて現地偵察を行いつつ各地に戦力を送り込むって魂胆か……それは確かに厄介な話ではあるな」
クウォスはこう呟くと考え込んだ表情を浮かべ、それに対してパウも
「市街地に入り込んだ連中が何らかの連絡を送ったら増援が来るかも知れないわね、それについて備えておいた方が良いかも」
と言葉を続ける。
だが二人のその言葉に対し明帝は
「確かに二人の言う可能性も十分考えられる。
だけど何か引っかかる、何だ?何が引っかかっている……流石に現地の状況が良く分かっていないのであれば大規模な戦力を送り込む事はしないだろうけど……」
と内心で何処か引っかかりを覚え、疑問が頭の中に過るのであった。
だがその直後に警報が鳴り始める。
「警報!?一体何が起こったのですか!!」
アデルの側近の兵士がそう叫び声を上げると前方のモニターに青の姿が映し出される。
「青?一体何があったの!?」
画面に表示された青にパウが問いかけると青は
「皆様方!!地球上の複数のエリアにおいて異常な高エネルギー反応を感知しました!!発生箇所は此方になります」
と大声を上げながらその発生している箇所を表示する。
その直後エリーが
「これって……このエネルギーの反応場所って……」
と言うとミスティは
「ええ、二箇所は奴等の移動艇が停泊している場所、もう二箇所も移動しているという事は恐らく奴等の移動邸なのでしょうね」
と告げる。
それに対して兵士は
「つまり、奴等は自ら移動艇の場所を晒していると言う事ですか?然し偵察部隊がそんな間抜けな事をするとは思えませんが……」
と疑念を口にする。
「高エネルギー反応のする場所に機械の反応も確認出来たわ、やはりその発生源は移動挺とみて間違いない。
移動している物は市街地に向かっているわね……」
「市街地で高エネルギー……新たな侵攻部隊を送り込む……いや、まさか!?」
モニターに映る高エネルギー反応を見ながら七宝が何かを予測するが、その直後に独り言を呟いていた明帝が突如として大声を上げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます