第六十二話 未知と遭遇する時

「おおーい、大丈夫ですか~?」


その直後、アルタイルの後ろから呼ぶ声と共に接近してくる人影が確認出来た。

それは先程の現場で彼と共に戦っていた人間と獣人であった。


「ええ、この怪物の身柄は拘束しましたからね、それにしても施設に被害が出なくて何よりです。

まあ、一応念の為に施設に連絡は入れておきましたが」

「そんな連絡、何時の間に……」

「この怪物を追跡しながらですよ、先程の現場ではまだこいつらが何処を狙っているのか性格な場所が特定出来なかったので」

「確かに……あの施設は複数の箇所に跨っていますからね、全体を警護するとなるとそれなりの戦力が必要になります、しかしそこまでの戦力規模ではないとなると考えられるのは……」

「まあ、その辺りは追々分かって来る所でしょう。

今はこの怪物達の身柄を彼等に引き渡す事が先決です」


アルタイルがそう告げると後から来た人間と獣人はその場から立ち去っていく。

それを見届けていた優嫌夫妻が


「今の……一体何者なの?怪物という言葉が聞こえていたけど……」

「確かに倒れていた存在は明らかに人間ではなかった、だが……」


と困惑した表情と声を上げると舞桜夫妻も


「その怪物と言っていた存在の方が見た目は余程怪物に近かったわ……それに後から来た存在の中にも人間と一緒に獣人の様な存在も混じっていた。

一体どうなっているの!?此処まで来た兵器とは又違う……」

「ああ、当然の事だが俺達が居た頃にあんな生物は見た事が無い」


と言葉を続ける。

そこに更に


「あの様な生物、私達も見たことがありませんし星間戦争に参戦している星の住民の中にもあの様な生物は確認出来ていません。

無論、それらの星に生息している全く未知の種族という可能性はありますが……」


と言うマルティー人の代表者の言葉が一同の混乱を更に強める。


「マルティー人の代表者の方もご存知ないのですか……それではあの生物は一体!?全く未知の種族であるとしてもそれが何故この地球、日本に居るのか……」


舞桜夫妻の夫がそう告げるとマルティー人の代表者は


「それで、どうします?」


と急に問いかけてくる。


「どうするって、どういう事ですか?」


問いかけの真意が分からず、思わず舞桜夫妻の妻が聞き返すとマルティー人の代表者は


「先程の方々は施設の被害、連絡、防衛という言葉を口にしていました。

もしその施設という言葉が指し示して居るのが……」


と言いかけるとそこで小鳩夫妻の夫が


「俺達が向かおうとしていた場所かも知れないって事か……そしてもし仮にそうだとするなら……」


と納得したような表情を浮かべる。

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