第六十三話 神楽と勇矢が出会う時
「先程倒れていたあの怪物と呼ばれていた存在の同士だと私達が認識され、攻撃を受けるかも知れないという訳ですね」
小鳩夫妻の妻がそう返答するとマルティー人の代表者は
「ええ、その為向かうにしても外から眺めるに止め、内部に直接乗り込むのは避けた方が良いでしょう」
と解答を用意する。
この返答の仕方からして恐らくは事前にこの解答にしか無いと思っており、それをあくまで確認という形で出したのだろう。
それを察したのか舞桜夫妻の夫は
「くそっ、此処まできて……だが仕方ねえか、今此方に奴等と本格的に戦う力はねえんだから……」
と下唇を噛み締めながらも自分を納得させる。
「ええ、ですから一応はこの先に向かいましょう。
ただ、今動くと先程の人達と遭遇し面倒な事になるかも知れません、よって少し此処で休息を取る事を提案します」
「その方が良いかも知れませんね、少し情報を整理する時間も必要ですし。
最も、整理するほど情報が集められているのか……と言う疑問もありますが……」
マルティー人代表者の提案に舞桜夫妻の妻は賛同するものの、その言葉には若干の自虐とも思える発言が紛れ込んでいた。
だが誰もそれについて否定も肯定もしない、いや出来ないと言いかえるべきだろうか、彼女の話している事は事実では有るのだから。
一方、その場から離脱したアルタイルは遅れてきた住民達と来た道を戻っていたがその途中で
「やはり君達だったんだね、勇矢とアルタイル」
という声と共に神楽がその場に走ってくる。
「神楽さん、貴方が出向く程の事ではないような気がしますが」
「その言葉、代表者の彼からも言われたよ」
駆け寄ってきた神楽に対し既視感のある発言を行い、結果として神楽に少し不満げとまではいかないまでも困惑した表情をさせたことに気付いたのか勇矢はすかさず
「申し訳ございません、少し出過ぎた発言をしました」
と謝罪の言葉を述べる。
それに対し神楽は
「いや、構わないよ。
それよりも君はどうして此処に?この付近で特に君が任務にあたっていたと言う情報は無かったけど……」
と勇矢に対しどうして此処にいるのかと言う類の質問を行う。
それに対し勇矢は
「任務がないから来てはいけないという訳ではないでしょう。
何しろ此処は……」
と何処か含みを持った返答を行い、それに対して神楽は
「ああ、そういえばそうだったね、私とした事が失念していたよ」
と返答し、先程の勇矢と同様にすまないと言った趣の表情を浮かべる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます