第四十一話 戦力を提供する時

「神楽か、実は……」


高御はそう言うと先程通信相手から聞いた事情を話す。

それを聞いた神楽が


「成程、此方からも戦力を提供するという訳ですか、では早速……」


と言いかけたその瞬間神楽の背後から


「その出撃、僕達にやらせて頂けませんか?」


と言う声と共に四人の人影が見える。

その声に対して神楽が振り返るとそこには児童~小学校中学年程の男女二人ずつが立っていた。


「里愛、応味、青、エア、君達何時の間にそこに……」

「ついさっきそこを通りかかったんですよ、そしたら皆様が何かお話されていたのが耳に入ってきたんです。

あ、勿論立ち聞きするつもりは毛頭なかったんですけど……」


神楽が尋ねると里愛と呼ばれた男子がそう返答する。

その返答に合わせて他の面々も顔を見合わせている辺り、彼がこの四人の中で一番の纏め役なのだろうか?

それを見たミスティが


「で、どうする?この子達を出撃させる?」


と問いかけると二番目の通信先の相手は


「戦力規模から考えるとそこまで大規模な部隊でありません、なので皆さんの全身全力を出す程ではないと思うのですが」


と全力を出す程ではないと言いつつも少し歯切れの悪い返答をする。

何か不安要素があるのだろうか?


「決して少ない訳では無い以上数頼みの突破を狙ってくるかも知れないって事か、分かった、此方も主戦力をある程度投入しておくよ」

「では……」

「ああ、里愛、青、応味、エア、君達も出撃して欲しい」


高御が二番目の通信先の相手とこう話を付けると青と呼ばれた女子が


「ありがとうございます、では出撃します」


と返答し、そのまま四人は何処かへと移動していく。


「良いの?彼等が出撃するとは言ったけど……」

「あの状態になったら私が止めても聞きませんから、それに……」

「それに……あの子達を信頼しているからでしょう?」


高御が神楽に対して問いかけると神楽はこう言葉を続け、そこにミスティが更に続ける。

その言葉は神楽の本心を言い当て様としているようにも誂っているようにも見える。


「茶化さないで頂けませんか?そういうのは……」

「相変わらずこういう部分は硬いのね、けど、あの子達の出撃に対して色々と思慮しなくなったのは進歩なんじゃない?」

「何時までも過保護で居る訳には行きませんからね」

「何時までもと言うより、最初から過保護はいけないのさ、それは自立した思考を奪うことに他ならない。

その実例を僕達は嫌という程見せつけられているからね」


四人を見届けながら神楽と高御はそれぞれこの様に告げる。

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