第三十二話 総司令官が話す時

「つまり、件の勢力はこれまでとやり方を変えて仕掛けて来ていると言う訳ですか?」

「ええ、これまでの我々の交戦との仕方とは明らかに異なっています、只、余りにも急に方針転換が行われている為、単に反逆者がやり方を変えてきただけではないのかも知れません」

「それはどういう事ですか?」


マルチェスと地球人側の会議参加者がそれぞれ会話を続けていく中、マルチェスは


「もしかするとなのですが、地球側に反逆者に今回のやり口を入れ知恵した者がいるかも知れないという事です。

例えば皆さんが仰っていた高御と言う人物、調べてみましたが此方が把握している反逆者側の構成員にその様な名前は確認出来ませんでした。

恐らくは取り込まれた地球側の人物と推測出来ますが……」


と今回の一連の流れに地球側の人物が協力している可能性を示唆する。


「つまり、保身の為に地球を撃った連中が居るって事か……確かにそう考えれば日本政府と繋がっているのも合点がいくが……」

「けど、そんな事が本当に……待って下さい!!それだと可笑しな点が有りませんか?」


合点がいくと言っていた神楽の父だが、そこで神楽の母が大声を出して割って入る。


「どうしたのですか?」


マルチェスがそう尋ねると神楽の母は


「そもそも今回の一件の発端となった行方不明事件は件の光が出現する前から発生していました。

そして先日、それに関わっていると思わしき人物が日本政府の所属軍と共に居る事を確認した……だとするとその反逆者はあなた方よりかなり先に地球を訪れていたのではないでしょうか?」


と答え、既に行方不明事件の段階で反逆者と呼ばれる集団が活動を開始していたのではないかと推測する。


「成程……確かにその可能性はありますね。

そしてそうであったとしたら我々にもその動きを掴みきれなかった責任があります。

反逆者はかなり以前から地球に目をつけていたのかも知れないですね」

「総司令官、そうであれば尚の事向こう側の情報を得る必要があるかと」

「そうだな、地球側の協力者の可能性も想定し、可能な限りの情報を収集する必要がある。

だが一方で反逆者側が此方に攻め込んでこないとも言い切れん、此方でも確認したデータでは地球の勢力下は2~3割程だが先日の兵器の存在がある以上はな」


マルティー人の代表者とマルチェスがこう会話を続けると大黒は


「しかし、仕掛けてくるつもりであれば既に来ているのでは?」


と疑問を投げかけるがそれを聞いた周囲は何故それを貴方が言うと言わんばかりの表情で一斉に大黒を見る。

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